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【感想】NHK 歴史探偵「光る君へコラボスペシャル2 源氏物語」を視聴しました

2024年8月28日(水)22:00~22:45 歴史探偵「光る君へコラボスペシャル2 源氏物語」を視聴しました。

<NHKのあらすじ>
平安文学の傑作・源氏物語。誕生の秘密を光る君へとのコラボスペシャルで調査!
藤原道長役の柄本佑さん、一条天皇役の塩野瑛久さんが登場。
大河ドラマがもっと楽しくなる!


■プロローグ

●スタジオで
佐藤所長「私の周りの女子が大変、道長、キャアキャア・・・」
藤原道長役の柄本佑さん「これ以上偉い役は無いです」
一条天皇役の塩野瑛久さん「思春期の反抗期的気持ちもあるんでしょうね」
テーマは源氏物語です。
どれぐらい長い物語なのかというと、全54巻あります。
3世代にわたる大長編、とても貴重だった紙が必要でした。

■源氏物語に何枚の紙が使われたのか?

●千葉・銚子
・佐々木孝浩さん(慶応大学)
「紙について重要な資料が残っています」

●飯沼山 圓福寺
・平幡照正さん(住職)
源氏物語の41番目の巻・幻の巻です。
文字に平安時代の特徴が残っています。
佐々木さん「全般的に細くて平安時代の雰囲気が残っています」
和紙を分割して作るので、1冊作るのに「六つ半本」で5枚必要になります。
「鎌倉時代の写本を調べると、圧倒的に正方形のものが多く、長方形は珍しいことがわかります」
長方形のほうが格が高いとされ、和歌は長方形、物語は正方形とされました。
全巻で507枚、これは清書した時の枚数です。
推敲と下書き、書き損じも加えると、2000枚以上です。
どうやって手に入れたのでしょうか?

●一条通
平安時代に紙を作っていたようです。
紙屋川という地名です。
平安時代、紙を作る施設があり、朝廷が管轄する紙屋院です。
倉本一宏さん
「紫式部が紙屋院で手に入れたことはないです」
市場で購入することも出来ませんでした。
倉本さん「源氏物語の紙はどこかから与えられた、藤原道長としか考えられないと思います」

●道長に紙があった証拠
陽明文庫の国宝『御堂関白記』
36巻、26年に渡る長編日記、道長が十分な紙を長期にわたり入手できたことを物語っています。
倉本さんは道長が紫式部に依頼したのではないかと考えています。
倉本さん「私は紫式部が自発的に書き始めてそれを聞いた道長が援助したのではなくて、最初から道長の援助で書き始めた、読んでくれる人がかならずいる、紙はどんどんやってくるという自信があったから書けたと思います」
源氏物語を読んでくれる人とは一条天皇です。
彰子を一条天皇の后にしますが、なかなか皇子は誕生しません。
すでに一条天皇には定子がおり、最愛の息子もいたからです。
そこで道長が紫式部に書かせたものこそが源氏物語でした。

●スタジオで
柄本さん「ここまで裏取りできているのかと信憑性が上がりました」
999年11月7日 彰子が女御になる日に定子も皇子を出産しています。
紫式部が源氏物語を書き始めたのは1001年から1002年ごろと言われています。
紫式部が彰子に仕えるのは1006年頃
この動きの裏に道長がいたのではないかということです。
それを裏付けるように、1008年に彰子が皇子を出産しています。
河合先生「一般的には紫式部が旦那さんが亡くなって寂しさを慰めるために源氏物語を書いたと言われています」
「執筆の紙の枚数について注目したのは新しい視点です」
源氏物語には、一条天皇が読みたくならざるを得ない要素があったのです。
ひらがなです。

■ひらがな誕生

●京都市考古資料館
鈴木景二さん(富山大学)
平安時代の貴族が使った陶器に字が書いてあります。
「墨書土器」
鈴木さん「漢字が崩れてひらがなになっていく途中の雰囲気が分かります」
正倉院宝物「万葉仮名書文書」
和文は奈良時代まで漢字を使って表していました。
「難波宮跡出土万葉仮名文木簡」
はるくさのはじめのとし 皮留久佐乃皮斯米之刀斯
これが変わって生まれたのがひらがなでした。
「讃岐国司解有年申文」
どんな変化をたどったのか?
「かつらき」を例に調査します。
「か」の元の漢字は加です。
「ら」は良です。
元の漢字は加川良畿となります。
ひらがなは平安時代の文学に画期的な変化をもたらします。
鈴木さん「意味のある漢字から、純粋な音だけの文字ができます」
「会話は感情表現が出せるだろうとなります」

●政治劇
実際に起きた権力争いを物語に取り入れました。
桐壺帝は母と祖父を失い支えてくれる有力者がいません。
一方、一条天皇には愛する皇子・敦康親王がいました。
しかし母・定子を失い十分な後ろ盾を得られない状況でした。
倉本さん「一条天皇も皇位継承に非常に悩みが有ったと思います」
一条天皇は敦康親王ではなく道長の孫を皇太子にすることを決断します。
源氏物語でも、皇位争いに敗れた光源氏は臣下となり、権力者右大臣の孫に当たる皇子が皇太子になります。

●スタジオで
佐藤所長「ひらがなの偉大さですね」
柄本さん「ひらがなだから思いついた作劇じゃないかと思いました」
塩野さん「批判されているんじゃないかという描写もあって自分への当てつけかということもあり、新鮮さに興味惹かれたのでは」
最後は唐物についての調査です。

■源氏物語と道長にとって重要な唐物とは?

●京都市考古資料館
・平尾政幸さん(京都市埋蔵文化財研究所)
平安時代の遺跡から発掘された海外製の陶磁器です。
「越州窯青磁 輪花椀」
「白磁 壺」
道長の息子・頼通の邸宅跡から発見されたものです。
唐物を手に入れるため、民間交易を行っていました。
平尾さん「超高級ブランドです」
・河添房江さん(東京学芸大学)
「道長は左大臣として太宰府と商人たちとの交易を管理するトップ、商人や役人から唐物を献上されました」
源氏物語にも道長の唐物が使われてた可能性がありました。

●一条天皇のための豪華本
『紫式部日記』に、色とりどりの紙を選んで使ったという記述があります。
大陸から輸入されていた唐物があったと考えられています。
天皇に気に入ってもらうため、道長と彰子は最高級の紙を使ったのです。

■唐の紙とは?

・近藤陽子さん

●唐の紙の復元
模様の色が角度によって変わります。
版木で文様を掘り出しました。
日本にいなかったくじゃくが掘られています。

●一条天皇のためだけの本を再現
胡粉を塗ります。
キラキラ光るものは雲母でした。
版木に雲母をつけたら、次は印刷です。
一枚作るだけでも大変な手間がかかりました。
表紙はさらに豪華だったと考えられるため、金の雲母で装飾しました。

●スタジオで
佐藤所長「道長は徹底してますね」
スタジオに作成した製本を持ってきました。
桐壺の冒頭である「いづれの御時にか女御更衣・・・」を書き込んでいます。
紫式部のメッセージがありました。
光源氏が栄華を得るまでの物語と中流階級女性との恋愛などに分けられます。
第2部になると栄華が陰るストーリーに変化。
第3部になると若い貴公子が繰り広げた恋愛物語になります。
人生の暗転や恋物語は道長の依頼とは関係なく書いたと思われます。
「源氏物語 蛍」の中に有りました。
「この世に生きる人のありさまには、見ているだけではもの足りず、聞いても聞き流せないことがある。後の世に伝えたいと感じる、そうした事柄を心にしまっておけず書いたのが物語の始まりなのです」
柄本さん「台本もらって、やっと物語を書き始めた、早く書きなさいという気分でした」

ーーーおわりーーー

次回は「中国 謎の古代文明を追え!」9月4日(水)22時放送です。

■感想

コラボスペシャルということで、内容無いのかなと思っていたら、なかなか濃い内容で面白かったです。
特に、紙と文字に焦点を当てた内容でした。
源氏物語の制作に約2000枚の和紙が使われたと言っていました。
2000枚だと現代の値段に換算すると1枚1000円としても、200万円ですね。
1枚5000円だと1千万円!
最高権力者の道長かそれに近い人物じゃないと作れませんね。
そして、作成した時代の背景についても有りました。
定子と彰子の話しです。
偶然時代が合致したのかはわかりませんが、道長が絡んでいることが納得できる説明でした。
ひらがな誕生についても面白かったです。
源氏物語以外にも和泉式部や蜻蛉日記、枕草子もひらがながあってこそヒットしたんでしょう。
もう一回くらいコラボスペシャルがありそうなので、次回は紫式部単独作成なのか共同で作られたのか調査してほしいところです。


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