【感想】NHK大河ドラマ『光る君へ』第36回「待ち望まれた日」
2024年9月22日(日)20時『光る君へ』第36回「待ち望まれた日」を視聴しました。
<NHKのあらすじ>
一条天皇(塩野瑛久)の中宮・彰子(見上愛)がついに懐妊。
宮中が色めきだつ中、まひろ(吉高由里子)は彰子から、天皇に対する胸の内を明かされる。
一方、清少納言(ファーストサマーウイカ)は、まひろが道長(柄本佑)の指示で物語を書いたことを知り、伊周(三浦翔平)にある訴えをする。
出産が近づくにつれて不安を抱える彰子に、頼りにされるまひろ。
他の女房らに嫉妬されつつ、道長から新たな相談を受け…
■プロローグ
■寛弘5年(1008年)
敦康親王(渡邉櫂)が漢文の勉強が嫌になったので彰子の所に逃げてきました。
宮の宣旨(小林きな子)が持ってきた荷葉の香りに彰子はむせてしまいました。
すると、道長が急いで懐妊の知らせを告げに来ました。
猫の小麻呂も居ます。
倫子(黒木華)と赤染衛門(凰稀かなめ)は喜びとともにホッとした表情です。
宮の宣旨が女房たちにしっかり懐妊した彰子の世話するよう命じました。
---音楽---
冬野ユミ
---テーマピアノ演奏---
反田恭平
■漢詩の指導
まひろがやって来ると、彰子は内緒の話をしたいといいます。
自分には漢籍は無理かと彰子は問います。
一条天皇が読んだ漢詩「高者未だ必ずしも賢ならず下者、未だ必ずしも愚ならず」
の意味を問います。
白居易の新楽府の一節で、唐の国の白居易が民人の声を代弁して、為政者のあるべき姿を示した漢詩だと答えます。
彰子は内緒でといい、亡き皇后も漢詩が得意だったとか、自分も帝を驚かせたいということです。
●公卿たち
斉信(金田哲)は、中宮の子が皇子であったら道長は盤石だと言います。
公任(町田啓太)は、めでたいが皇子だったらややこしいことになると言います。
行成(渡辺大知)は、これまでのならいでは居貞親王のあとは敦康親王が東宮になるのが道理だと言います。
道長が敦康親王の後見を辞めるはずはないとも。
この話はもう終わりと言うと退出しました。
●花山院の崩御
道綱(上地雄輔)が花山院が隠れたと居貞親王(木村達成)に報告します。
居貞親王は、自分の子である敦明親王が東宮にならないと冷泉の皇統は途絶えると憂慮しています。
彰子が産む子が皇子でないことを祈ります。
妻の娍子(朝倉あき)も暗い表情です。
道綱は生まれてみないとわからないと答えます。
そこに敦明親王(阿佐辰美)がやって来て狩りに行こうと道綱を誘います。
道綱は狩りはにがて、ケモノの肉は食べないのかと問われると食べると言います。
居貞親王は道綱に中宮の様子を逐次知らせるよう命じました。
●敦康親王の憂い
彰子に敦康親王は、子供が生まれたら遊ばなくなるのではと心配しています。
彰子は幼子の頃から一緒に生きてきたこの先もそばに居てくれと頼みました。
●里帰り
●ナレーション 伊東敏恵(NHKアナウンサー)
「中宮彰子は、出産のため土御門殿に退出した」
まひろは土御門殿で物語をゆっくり書けるよう専用の部屋を用意されました。
物語の力が中宮の心を変えた、中宮を救ってくれたと倫子から感謝の言葉をもらいました。
■漢詩の勉強
「人の心の好悪苦だ常ならず 好めば毛羽を生じ 惡めば瘡を生ず」
人の心は変わりやすく、好きとなれば羽が生え飛ぶほどに大切にするが、嫌いとなれば瑕ばかり探し出します。
瑕とは大切な宝だと、人をその人たらしめるものだと述べます。
そこに道長一家がやって来ました。
威子(栢森舞輝)と嬉子(平尾瑛茉)、そして教通(吉田隼)がまひろと初対面です。
彰子は大切なご指南役だと紹介しました。
●ある噂
左衛門の内侍(菅野莉央)が赤染衛門に讒言します。
中宮の側役を奪われ、左大臣と藤式部の関係を問います。
藤壺でも左大臣はしばしば藤式部のところを訪れていると噂になっていました。
■ききょう
(ナレ)
「中宮彰子懐妊の陰で定子の産んだ媄子内親王は、この世を去った。僅か9歳であった」
ききょうが媄子のお悔やみに伊周のもとを訪れました。
伊周は、秋には中宮に子が生まれる、左大臣のおもいのままになる、帝の心さえもと述べます。
藤式部という女房が帝の心をとらえる物語を書いて、帝が藤壺を訪れるきっかけになったとも。
ききょうは藤式部とは誰かと問います。
越前守の娘だと言うと、ききょうは驚きの表情をしました。
帝は枕草子ではなく、藤式部の物語を好んでいるといいます。
ききょうの表情がこわばります。
ききょうは、その物語を自分も読みたいと願います。
■中宮出産記録
(ナレ)
「帝の子の出産時には漢文による公式記録をつけるのが通例であった」
道長はまひろに、中宮の出産記録を作ってほしいと頼みました。
まひろは承諾しました。
●伊周の企み
伊周が呪詛の赤い紐を持っています。
●彰子の憂い
彰子は自分が亡くなるのであろうかと心配しています。
まひろと一対一で話します。
■出産と呪詛
(心の声)
「真夜中からお屋敷が騒がしくなり始める。日がな一日中宮様はとても不安げに起きたり伏せったりして、お過ごしになられた」
「祈祷僧たちは、中宮様に取りついているもののけどもを、憑坐に駆り移そうと限りなく大声で祈り立てている。南には高貴な僧正や僧都が重なり合うように座り、不動明王の生きたお姿をも呼び出してみせんばかりに、頼んだり、恨んだり・・・」
「皆、声がかれ果てているのがとても尊く聞こえる」
彰子の名が書かれた木の人形を突き刺す伊周です。
お清めに米を女房たちにまきます。
(心の声)
「頭には、邪気払いの米が雪のように降りかかり、しぼんでしまった衣姿がどんなに見苦しかったことか、あとになるとおかしくてならない」
憑坐の女が道長に取り憑きます。
そして、赤ちゃんの産声が聞こえました。
皇子であったのに、道長は少し暗い表情をみせています。
倫子が皇子だと知らせました。
穆子(石野真子)も喜んでます。
伊周はこれで呪詛を止めました。
■望月の夜
「めずらしき 光さしそう 盃は もちながらこそ 千代もめぐらめ」
まひろは歌を読み上げていると、そこに道長がやってきました。
中宮という月の光に皇子という新しい光が加わった盃は今宵の望月のすばらしさそのままに千代もめぐり続けるだろう。という意味です。
道長はこの歌を記憶にとどめました。
●明子の意欲
源俊賢(本田大輔)に対し、明子(瀧内公美)は寛子も必ず入内させる、土御門に負けていられないと対抗意欲を示します。
●天皇との対面
「一条天皇は敦成と名付けられた若宮に会いに、土御門殿に行幸した」
「一条天皇はこの日、敦成に親王宣旨も下した」
■五十日の儀
(ナレ)
「この日は五十日の儀。子供の誕生50日に行われる今で言うお食い初めの祝いである」
顕光(宮川一朗太)も無礼講ということで酔っ払い女を探しています。
実資(秋山竜次)も酔っ払い大納言の君(真下玲奈)に絡んでいます。
公任は女性に対し、このあたりに若紫のような美しい女はいないかと酔っ払いながら問いかけています。
それにまひろは、ここには光る君のような殿御はいないから若紫もいないと返しました。
道長に命じられて歌をまひろは詠むことになりました。
「いかにいかが 数えやるべき 八千歳の あまり久しき 君が御代をば」
道長の返歌
「あしたづの よはひしあらば 君が代の 千歳の数も 数え取りてむ」
馬中将の君は、あうんの呼吸で歌を交わせることを疑問に思っています。
この歌になにか感じたのか倫子は退席しました。
赤染衛門が道長との仲を詰問します。
----終わり----
次回は 第37回「波紋」9月29日放送です。
■感想
今日の内容は、ほぼ紫式部日記に則った展開だったようです。
・敦成親王の生誕50日を祝う儀式
・憑坐が取り憑きそれを追っ払うシーン
・出産祝いの無礼講の宴
・公任の「若紫はおられるか?」
これらは紫式部日記に記されている史実のようです。
史実をそのまま表現すると冷淡になり面白くないところですが、それを面白おかしく表現するのは演出のなせる技でしょう。
彰子は988年生まれで、出産時1008年なので20歳あまりで産んだことになります。
番組では遅い遅いと描いていましたが、それでも早い方ではないでしょうか。
敦成親王は後の後一条天皇です。
その後、彰子は敦良親王(後の後朱雀天皇)を生みますのでまさに天皇を輩出した尊き皇后となるのでした。