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第40回「イタリア縦断記 その8」目指せニューシネマパラダイス 帰れソレントへ

まさかソレントを見下ろしながら、「帰れソレントへ」を歌うはめになるとは…と、終わってから日奈子は急に恥ずかしさが込み上げて来たようだ。

近くのレストランに辿り着き、
炭酸水をがぶがぶのみながら喉の渇きをいやす。
子供たちは大好きなピッツァを、
僕らは郷土料理のニョッキを頂く。
(本当はこの地域の特産であるレモン味ソースのスパゲッティが食べたかったんだけど、このお店にはなかったので断念)

値段的にはリゾート地価格ではあったが、ヴェネツィアの中心部のレストランほどではない。運転があるからお酒は僕は飲めなかったけれど、日奈子はしっかりとリモンチェッロ(レモンのリキュール)を味わっていた。

リモンチェッロ(レモンのリキュール)

その後のことは少しぼんやりとした記憶になっている。
ソレントもサレルモも、まちを観て回り、お店も覗いた。
有名なビーチも見たには見たけれど、
随分と上の方から遠く眺めるだけでは、やはり物足りなかった。

サレルモのビーチ

まあ、それも当然だろう。
長期滞在のバカンス用のエリアを宿泊もせず、
数時間まわるだけでは、単に通り過ぎたのと変わらないのだから…。

こういうところは、ヴェネツィアも同じだと思うんだけれど、
少なくとも1週間、できればひと月くらい
のんびりしないと本当の時間は味わえないわけだ。

さあ、豪華フェリーに乗り込むよ!


そしてそんなことは僕らは百も承知の上で、
今回の旅のスケジュールを立ててきた。
計画したスケジュール通りに過ごさないのが、
僕らのスタイルだったけれど、今回に限ってはそうもいかない訳があった。

だって本命はシチリアなのだから。

シチリアで出来るだけ長く過ごしたいから……。

ジュゼッペ・トルナトーレ監督の足跡を辿る、

弘樹少年、二十年越しの想いを追いかけて。

さあ、今夜はナポリから大型フェリーに車ごと乗り込む。
豪華な船で一泊過ごして、夢の島へ向かう時が迫っていた。

よし、みんなナポリに帰るよ。船着き場を目指せ!

そして船の中で今夜はお祝いだ。

子供たちが大好きなママの、

僕の愛する日奈子の、今日は誕生日パーティだ。

行くぞーみんな、アンディアーモ!

(船に乗るのも一苦労「いざシチリアへ」に続く)


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