アニサキスを避けるには、養殖魚の刺身を食べよ
アニサキスは寄生虫です。
幼虫時代から成虫まで、宿主の中で育ちます。
その幼虫は、第一期から四期に分類されます。
クジラやイルカに寄生しているアニサキスの成虫が産んだ卵は、海に放出されます。
卵は、海水中でふ化し、第一期の幼虫となります。
成長して第二期の幼虫になると、最初の宿主であるオキアミの中で過ごします。
第三期の幼虫は、次の宿主であるサバやアジの中で過ごします。
第四期の幼虫や成虫は、最後の宿主であるクジラやイルカの中で過ごし、卵を産みます。
こうした生活史サイクルの中で生きています。
人間と遭遇するのは、第三期の幼虫のときです。
大きさは、2~3cm。
寄生するサバやアジを生で人が食べると、胃の壁に食い込んで激しい痛みを起こします。
これがアニサキスによる食中毒です。
もともとは魚の消化管(内臓)にいるのですが、宿主の魚が死ぬと消化管から出て筋肉の中に入り込みます。
まさに、魚の筋肉(刺身)を生で食べる日本人に多い風土病(エンデミック)だといえます。
令和3年の全国の食中毒の原因別発生状況では、総件数が717件で、アニサキスが約50%を占め、第一位です。
宮崎県の近年の動向は、サバ、アジ、イワシの順に多く発生しています。
アニサキス食中毒の予防方法は次のとおりです。
・新鮮な魚を選び、速やかに内臓を除去し、内臓は生で提供しない。
・刺身は、目視で十分に確認し、アニサキス幼虫を除去する。
・しっかり冷凍する。マイナス20℃で二四時間以上冷凍すればアニサキスは死ぬ。
・加熱する。60℃で一分又は70℃以上で瞬時にアニサキスは死ぬ。
・養殖魚を食べる。餌の関係でアニサキスはいません。
次のようなアニサキス「都市伝説」を信じてはいけません。
・酢でしめれば死ぬ
⇒ウソです。酢で死ぬという話はかなりの人が信じております。
・醤油にワサビをつければ死ぬ
⇒ウソです。ワサビには殺菌作用がありますが、アニサキスには無効で
す。
・よく咬めば死ぬ
⇒ウソです。アニサキスの構造は丈夫なので、咬み切ることはできませ
ん。
アニサキスがこわい人は、いろいろな対処方法があります。
天然物を避けて養殖魚の刺身や、冷凍の刺身を解凍して食べる。
刺身をしゃぶしゃぶで食べる。
焼き魚、煮魚、天ぷらなどで食べる。
4年間住んだ富山県ではブリが有名ですが、ブリの刺身をしゃぶしゃぶで食べさせるお店がありました。
邪道だと思っていたのですが、公衆衛生的にはいい食べ方だったと、今回アニサキスを学習して改めて感じました。
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