E型肝炎の原因は、発展途上国では「水」、日本では「鹿の生肉」である
私の生まれた椎葉村は、昔も今も狩猟が盛んな土地です。
民俗学の柳田国男は、内閣法制局の官僚時代に、九州地方を視察しています。
宮崎県知事などから平家落人伝説のある椎葉村の話を聞いて興味を持ち、視察することになりました。
椎葉村滞在中は、中瀬村長が対応しました。
村長から聞いたイノシシ狩りなどの話や資料をまとめて、「後狩詞記」という本を自費出版しました。
これが日本民俗学の始まりとされており、椎葉村小崎にある中瀬村長の実家の庭に、日本民俗学発祥の地という碑が建っています。
この村長の息子が、都城中学に進み、海軍兵学校に入学しています。
後に戦艦伊勢の艦長としてレイテ沖海戦に出撃しました。
米軍機から猛攻を受けますが、奇跡的に一発の爆弾も魚雷も当たりませんでした。
戦艦伊勢を沈めることができなかった米国海軍のハルゼー提督は、戦後に伊勢艦長を褒めています。
中瀬村長の実家の入り口には、伊勢艦長の碑も建っています。
仮面ライダーの藤岡弘さんが、見学に来たこともあります。
戦艦伊勢は、戦艦日向とともに、飛行甲板のある航空戦艦として有名です。
現在の海上自衛隊では、これらの名前をひきついだ護衛艦「いせ」と「ひゅうが」があり、ヘリコプターを乗せる空母のような姿をしています。
手術室や病室もそなえており、病院船の役割も担っています。
さて椎葉村では、イノシシ肉や鹿肉をよく食べていました。
昔は、鹿肉は焼いてたべるより生で食べた方がおいしいと、刺身で食べておりました。
最後に食べたのは、医学生だったときです。
その頃は、ウイルス性肝炎は、A型とB型しか知られていませんでした。
それ以外の肝炎は、「非A非B肝炎」と言われておりました。
今では鹿肉には、E型肝炎ウイルスがいることが知られています。
発展途上国では、水を飲んでE型肝炎となることが多いのですが、我が国では生肉を食べてなることが多いようです。
私が富山県にいた20年前の話です。
関西のある県で、肝機能が悪くて大酒飲みだったことからアルコール性肝炎と診断された男性の妻がその翌週に受診して、同じく肝機能が悪く肝炎と診断されました。
夫婦を診断した医師が不審に思って、保健所に連絡して家を調べたところ、冷蔵庫から鹿肉が出てきて原因が判明しました。
鹿肉をもらっても決して生では食べないようにしましょう。