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進撃の巨人で一貫していたのは、「自由」ではなく、「大切な人への愛」だ

それぞれの生き方があるもので、争いは絶えないけれど、できるだけいい選択をしていく人物たちが多彩に描かれていた。
生きるとはどういうことかをドラマティックに印象に残る形で伝えている。
ではこの物語で一貫していたことは何か?
この物語の中心人物たちは、できるだけ身近な人を大切にしていた。

「自由」を求めて突っ走る生き方。その結果大虐殺を起こす。エレン
「この瞬間のために生まれてきたんだ」と思えることを大切にする生き方。アルミン
好きな人のために生きる生き方。ミカサ
死んだ親友に恥じない生き方。ジャン
家族、お母さんに恥じない生き方。コニー
身の回りのみんなをできるだけ助けたい性格からなる生き方。ライナー
父との約束のために生きる生き方。アニ
自分の仲間に忠実な生き方。リヴァイ
わからないことを理解しできるだけ正しいことを選びとる生き方。ハンジ
人類の平和を実現するための生き方。ジーク

みんな身の回りの人に元気に生きていてほしい。
そのためだけに対立した。

でも、その思いを持つ人が多いかったからこそ、最終的には人ができるだけ死なないように動くことが全体としての選択になった。

だから戦争も地ならしも起きてしまったが、すべての人間が死ぬまで続くようなことにはならなかったし、ならないだろう。みんな身近な人を救いたいから。

だから、私は、人類の目的は増えることだけじゃないと思う。
ただ増えるだけじゃなくて、「愛」なんだと思う。
身近な人を救いたい、大切にしたいという気持ちでみんな動いていた。大切な人への愛。
エレンは愛よりも「自由」への欲望が最終的に勝ってしまって、冷静に考えられなくなっちゃて大虐殺までしちゃった(自由の奴隷)っていう、本来許されない言い訳が最後にされていた。大変な空回りをしたけど、エレンやミカサへや仲間たちへの「愛」が強すぎた結果とも言える。

この作品も実は、最後に愛を訴えていた。こんなに戦争をして心温まるような話には見えなかったのに。

自分の大切な人を大切にする。この物語で一貫していたのは実はこの一点に尽きるんだ。

私は進撃の巨人が好きだった。
エレンが自由を求めて進み続けることが好きだったし、それが大虐殺に変わってからは、アルミンの「この瞬間のために生まれてきたんだ」って思える時が来るまで何度でも頑張ろうと思ったから。そして、もちろんこの物語があまりによく考え抜かれた作品でもあるからだ。でもまさかこの物語が一貫していたのは、大切な人を大切にすることだったとは。暇ができてきちんと見直してそれに気づいた。そこに共感はまだできなくて、逆に安易に好きだと言えなくなってしまった。

でもそんな物語に立ち会えたことは本当に幸運だったと思う。

親を早くに亡くして、友達との思い出が多いアルミンの生き方を私は大切にしてみたいと思う。

「あぁ、この瞬間のために私はこの世に生まれてきたのかもしれない」
そう思う瞬間が私にも何度かあった。
幸運なことだ。

そんな未来を心待ちに今日も生きていこうと思う。

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