非当事者研究その3
「当事者」という言葉が法律用語から社会用語へと連続する裏に、私は断絶があると見ています。それが「非当事者」の登場です。「当事者」以外を指す場合、法律では「第三者」としていましたが、障害者運動以降は「非当事者」ともするようになりました。
「非当事者」は不思議な言葉です。「当事者」は名詞であるのに対して、「非当事者」は「当事者に非ず」すなわち「当事者でない」という文になっています。「非当事者」が文であることからすれば、「当事者」も文であり、「当事者/非当事者」という区別は「当事者である/当事者でない」という区別になります。
さて一見すると、「非当事者」は「当事者以外」とさほど意味が変わらないように見えますが、そうではないと思います。「当事者」以外を積極的に否定したのが「非当事者」だろうということです。どういうことでしょうか。
「当事者」以外を「非当事者」として積極的に否定したところには、「当事者」を「統治者」とする背景と通じるものがあります。「当事者」自身に関わる決定に際して、「当事者」以外による介入に抵抗するために「非当事者」が使われるようになったのではないでしょうか。つまり「非当事者」には「あなたは当事者ではない」として拒否する機能があります。
ここで「非当事者」と名指されるのは、当事者に関わる人だということを強調したいです。当事者に関わらない人にはそうした名指しもそれによる拒否も届きません。