非当事者研究その8
「当事者に関わる人」とは、「味方するよそ者」です。「味方するよそ者」を、「当事者」を想起させ、差異を含む言葉に言い換える前に、いま一度「当事者」について整理します。
「当事者」は、一方で障害者や女性といった属性に該当する人、すなわち「事に当てはまる者」として使われます。他方で「事に当たる者」としても使われます。つまり行為としての「当事者」です。
たとえば上野千鶴子さんは『ケアの社会学』で、「ケアする側」も「ケアされる側」も、ケア関係における「当事者」としており、相互行為性の有無が「当事者」かどうかを分けるとしています。たとえ「事に当てはまらない者」でも「事に当たる者」すなわち「当事者」になると述べられています。
したがって「当事者」は「事に当てはまる者」以外にも、「事に当たる者」とも捉えることができ、「味方するよそ者」とはまさに行為において「当事者」であり、「事に当たるよそ者」すなわち「#当事他者」と言い換えることができます。
「当事他者」、これこそ私が探していた、「当事者」を想起させ、差異を含み、「当事者に関わる人」を「非当事者」として否定せず、その存在を肯定する言葉です。