2021/04/01 気になる女の鞄の中身①
小説「赤いモレスキンの女」を読んだ。ページをめくるのが惜しいほど、ずっとこの本の世界観に浸っていたかった。ここで書くのは感想でない。重要なアイテムとなった女のハンドバッグのことである。
この物語は、ヒロインのロールが深夜に帰宅中、自宅前で強盗に遭い、ハンドバッグを引ったくられる場面から始まる。犯人が捨てたハンドバッグを、書店主ローランが拾い、見知らぬ持ち主に思いを馳せるようになる。
バッグは紫色の革で、金色のバックル。まず、この設定がスパイスが効いている。東京・銀座のショーウィンドーを回ったが、紫のバッグは上記の写真しかなかった。これは青みがかかった紫だけど、作中のバッグは赤みがかった紫というのが私のイメージ。
その中身は…①赤いモレスキンの手帳②黒いガラスの香水瓶(モリナールのハバニタ)③ヒエログリフで彫られた金メッキのプレートのついた鍵束④化粧品やアクセサリー入りの薄紫と茶褐色のポーチ⑤ゴールドのライター⑥モンブランの黒のボールペン⑦リコリスのアメ袋⑧エヴィアンのペットボトル⑨青い生地の花で作られたバンスクリップ⑩プラスチック製の赤いペアのサイコロ⑪女性誌『エル』のリードヴォーのレシピの切り抜き⑫携帯用充電器⑬ポケットティッシュ⑭写真⑮情報誌『パリスコープ』⑯パトリック・モデディアノの小説『夜半の事故』、作者のサイン入り⑰リップクリーム⑱解熱鎮痛剤⑲ヘアピン…なお、強盗犯によって携帯や財布は抜き去られている。
細々とした小物から、ローランはロールという女性の内面を深く知るようになる。詳細に説明されていて、読者も一緒に家宅捜索をしているような気分になる。
女性誌でも、「鞄の中身」の紹介するコーナーは人気で、よく見かける。どうして、女は鞄の中身が気になるのだろう?