私ひとりの部屋がほしい【2021/09/11】
「女性が小説なり詩なりを書こうと思うなら、年に500ポンドの収入とドアに鍵のかかる自分の部屋を持つ必要がある」。英国の作家、ヴァージニア・ウルフが、評論『自分だけの部屋(A Room of One's Own)』の中でそう書いている。有名な言葉らしいが、先日、ラジオで耳にするまで知らなかった。
私は今でも高校時代に買ってもらった学習机を実家から運んできて、書き物をしている。それぐらい執筆用の環境には無頓着だった。だから、「自分だけの部屋」もいらないと思ってきた。ひとり住まいだった頃は、リビングの隅にデスクを置いていた。今の住まいでは、開け放したリビングと一続きの部屋に机と本棚を置いている。
ところが、最近、コクーンのような囲まれた部屋で書きたいと思うようになった。よく考えてみれば、ひとりで住んでいれば、家全体が個室のようなものだから、自分の部屋を欲しないのは当然だ。他者がいてこそ、「自分の部屋」がほしくなるのだから。
では、どんな自分の書斎が理想的か。広さは四畳半ぐらいでいいかな。あまり広くなくていい。物件をみていると、「納戸」とか「サービスルーム」「書斎」という種類がある。調べてみると、通風や採光の面で建築基準法における「居室」の基準を満たしていないスペースのことらしい。「納戸」でもいいかなとも思わなくもないが、やはり窓があった方がいい。できれば、木が見えたら最高。こうして、あれやこれや考えている時が一番楽しいこの頃だ。
*すてきな画像は、みんなのフォトギャラリーからnbr41さんの作品をお借りしました。ありがとうございました。