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小林昭文授業改善ゼミの学び

授業をよくしたい。そういうシンプルな願いは、教師であるならば誰しももっているはず。

私は、20数年前、養護学校(今でいう特別支援学校)から教師人生をスタートさせました。個性あふれる子どもたちと、新任教師をあたたかく見守ってくれた保護者と先輩方に囲まれて、穏やかな3年間を過ごすことができました。

その後、異動し、公立小学校の教員となり、4年生を担当することになりました。子どもの頃からずっとなりたかった「小学校の先生」。
「教師びんびん物語」の徳川龍之介先生(田原俊彦)や「みにくいアヒルの子」の平泉玩助先生(岸谷五郎)を思い描いていたあの頃の私。変な熱意と自信に満ちあふれていました。

でも、その変な片思いは、すぐに打ち砕かれてしまいます。そりゃそうです。ドラマと現実は全く違うのですから。

ドラマには描かれていなかった「授業」に頭を悩ませることになります。
深夜まで考えて、準備をして、いろいろ取り組んでみたのですが、どうもうまくいきません。
そんな時に、とあるセミナーに出会い、サークルに参加することになります。一緒に伴走してくれて、相談に乗ってくれて、時には褒めて、時にはアドバイスをくれた仲間の存在で、ようやく授業がうまく回り始めることになるのでした。

さて、あれから20数年。立場も環境も変わってしまった今の自分は、あの時助けてもらった仲間のように、同僚たちと一緒に走れているだろうか?誰かの、何かのために働けているだろうか?新たな思いが生まれます。
そんな時に出会ったのが、みんなのオンライン職員室(みん職)講座「小林明文授業改善ゼミ(旧小林昭文ALゼミ)」(略称「小林ゼミ」)でした。

失礼ながら、小林昭文さんのことは全く知りませんでした。
紹介文を見てみると、もともとは高校の教員で、その界隈ではかなり有名な方らしい(^^)

第1期(22.3現在は第3期が終了したて)の体験講座で小林さんのお話を聞いてみると、授業改善についての訳のわからない理論がまさに滝のごとく、次から次へと目の前を流れていく。そんな感じでした。

「これを理解できるようになりたい。」

直感がはたらき、すぐさま申込手続きをすませたのでした。

自分の授業を変えることはもうできないのだけれど、自分の所属する学校に授業改善という風穴をあけることができれば、きっと学校がもっと楽しくなるはず。というワクワク感がわきあがってきたを覚えています。

あれから、およそ2年。ゼミは3期まで続き、4期がもうまもなく始まろうとしています。2期からは世話人として運営にもたずさわってきた私からみた、小林昭文授業改善ゼミ(通称小林ゼミ)で得られた学びを今回の記事でご紹介します。

1 非同期学習からの同期学習

同期学習からの非同期学習

月に一回、90分間の小林ゼミでは、小林さんによる講義はありません。

インプットすべき内容は、ゼミ一週間ほど前に配信される事前動画を視聴することで得られます。

本来、学びのタイミングやペースは人それぞれです。
朝型、夜型、短期集中、長時間まったり・・・・。
なのに、同じ時間、同じ空間、同じ進度という枠にはめてしまって、全ての人の学び方に適応できるのでしょうか?
その疑問は、事前動画の視聴という方法で解決することができます。

都合のいい時間に。途中でやめて、続きは別の時に。わからないところは巻き戻して。メモを取るために一時停止。スクショで自分なりにまとめなおして。通勤途中に聞きながら・・・・etc。
個人の都合に合わせたさまざまなタイミングとペース、学び方が可能になります。

こうした同じ時間、空間、進度でする必要のない学習を「非同期学習」と呼ぶことにします。まさに個別最適な学びの一つの形ということになります。

では、この非同期学習だけで学びは完結するのか?というと、そうではありません。インプットした知識は、アウトプットすることで確かな学びとなるからです。
つまり、誰かに話をしたり、質問をしたり、質問をされたり、他の人の意見を聞いたり、誰かの考えに共感したり、違いをみつけたり、一緒に考えたり、活動をしたり・・・・といった、「他の人」の存在が必要になります。
それは、同じ時間、空間をともにした学び「同期学習」によって可能になります。

小林ゼミでは、この「非同期学習」で個人の学び方に応じた事前学習を終えた後、定期的にオンライン上で集まり「同期学習」を行います。
そこでは、非同期学習での学びや感想の共有、小林さんや話題提供者への質問、回答、テーマに基づいた議論などが行われるのです。

私は、第1期のゼミで、この「非同期学習からの同期学習」という学び方にとても感銘を受け、自分の学び方、仕事にも変化が生まれました。

2 授業の基本パターン・基本スキル

授業の基本パターン・基本スキル

小林さんは、高校で物理の授業を担当されていた方ですが、エンカウンターグループやアクションラーニング理論を組み入れた、当時としてはかなり先進的な授業をされていたそうです。

自分の学生時代を思い出すと、物理は、ちんぷんかんぷんの代表格なような授業で、かなり後ろ向きな授業態度(つまり寝ちゃう。。。)だったのを覚えています。

授業中誰も寝ない(^^)主体的な学び、みんなで協力して学んで学習効果を上げる授業、確実な学力向上が得られる授業、授業時間を過ぎてもなお学び続ける自立した学びが展開される授業・・・・。
こういった奇跡のような授業が、小林さんの授業では存在していたのだそうです。

それを理論的にまとめて、後に組織的な授業改善につながった理論が「授業の基本パターンと基本スキル」です。

授業の基本パターン
Ⅰ 短い説明→長いワーク→振り返り
Ⅱ これまでのワンウェイ授業に対話や振り返りなどを入れて
Ⅲ 芸体系などワーク中心の授業
授業の基本スキル
○授業開始時
始業前に入室/笑顔で/始業前にできることを済ませる/スムーズに本論へ
○説明時
顔を見ながら/笑顔で柔らかい声/コンパクトに正しい日本語/10分以内/対話の工夫
○グループワーク中
開始前に内容・時間・役割を示す/開始直後の全員の取り掛かりを確認/全体・チーム・個人の変化を観察/コンテントよりプロセス重視/終了時に全員の終了を確認
○振り返り・終了時
振り返りの方法と時間を明示/開始直後に全員の取り掛かりを確認/授業者は沈黙/片付けをしながらも観察/就業チャイムを厳守

これまで多くの教室で繰り広げられていたチョーク&トークの授業を、3つの基本パターンとしてあらため、その中に基本スキルをちりばめた授業体系が提唱されています。

第3期ゼミでは、この基本パターン&基本スキルという視点から、ゼミ生の授業を見るということを続けてきました。
ただし、「これはオッケー。これはダメ。」と授業者の授業行為を評価してしまうと、授業者を傷つけることにもなりかねず、有意義な授業研究にはなりません、
そこで、これもまた小林さんが勤務されていた学校で行われていた「授業者を傷つけない振り返り会」の手法を取り入れ、提供してくれた授業に対して「ほめると質問」という観点でコメントしていくようにしました。

授業者は、参観者にほめられたり質問されたりすることによって、新たな気づきを得ることになります。そして、その気づきが参観者にとっても新たな学びとなるのです。

授業の基本パターン・基本スキルその一つ一つは、決して難しいものではありません。しかし、自然な形で授業を作り上げていくには、基本スキルを技化して体得し、応用も効かせた周辺スキルのようなものにまで意識する必要が生まれるでしょう。

3 「TAGURU」を使った授業の振り返り

「TAGURU」を使った授業の振り返り

第3期ゼミでは、「授業者を傷つけない振り返り会」をオンラインで実現しました。

ここで大活躍したのは、TAGURUという映像・コミュニケーションプラットフォームです。

まず、授業提供者が数台の端末を使ってzoomにアクセスし、授業を録画しておきます。
数台の端末を使うことによって、教室のいろいろな方向から授業を観察することができます。

そうして撮影された2〜6画面の授業映像をTAGURUにアップロードしておきます。
TAGURUを使うと、ゼミ生は授業映像をみながら「いいなぁと思ったところ」や「どうなっているんだろう?と思ったところ」でボタンを押して、映像シーンとして残していきます(これを映像に「タグをつける」といいます)。
さらに、つけたタグにコメントを残すことができ、具体的にほめたり、質問をすることができます。

この一連の作業を「非同期学習」で行います。

授業提供者は、好きなタイミングで、ゼミ生が残しておいたコメントを見て返信することもできます。

同期学習を行うゼミ当日には、コメントでは伝わりづらかった行間も含めて、授業提供者、その他のゼミ生、小林さんで対話をしながら議論を深めていきます。

こうした一連の学び方を通し、授業提供者の授業改善が進み、またその他のゼミ生の方にとっても自身の授業改善のヒントを得ることができるのです。

まとめ

今回の記事では、小林ゼミの魅力について、3つご紹介してきました。

非同期学習同期学習で、個別最適な学びと価値ある協働的な学びの両立が目指されています。
2 「授業の基本パターン・基本スキル」の体得を目指すことで、確実な授業改善を目指すことができます。
TAGURUを使うことで、オンラインでも有効な授業研究が可能です。

そして何より忘れてはいないのは、ここまでゼミをリードしてこられた小林昭文さんの存在です。
小林さんは、御年○歳の人生の大先輩です。
常に、新しいことに高くアンテナを張り、ご自分の理論・実践に組み込まれてきました。
今では動画編集に力を入れていて、ゼミや講演のための事前動画が毎回進化を続けています。その数・質ともに、もう立派な教育系YouTuberの域です(^^)

そんな小林さんの授業改善ゼミの第4期が5月6日からスタートします。
小林ゼミを体感してもらうための体験講座も4月29日に予定されています。

詳しくはこちらをご覧ください。

私も引き続き、ゼミのお世話人としてサポートを続けます。
今回の記事をご覧いただいて、興味を持たれた方は、まずは体験講座からご一緒しませんか?

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