変わりゆくリピート通販ビジネスの軌跡
※この記事は1分で読めます
閲覧ありがとうございます!
株式会社HATです。
本日も梅田さんコラムをお届けいたします✨
今回のテーマ
複雑かつ奥深いリピート通販ビジネスの変遷について考えたいと思います。
1.もはや「単品通販」は「単品」ではない
言い得て妙ですが、コレは事実です。
今でも、通販業界では「単品通販」や「単品リピート通販」という「単品」というフレーズは“現役”で、死語ということはないですし、間違った使い方、ということはないです(あ、少なくとも私の認識では)。
どこまでを「単品通販」と呼ぶべきかの定義づけは必要ですが、
いわゆる定期的に同一商品を購入してもらうような設計になっているビジネスモデルを仮に上記と定義づけるなら、主に「健康食品」「美容品」、および一部の食品ということになります。
通販新聞社から公表される通販売上トップ300などでランクインしている上位企業のほとんどが、売上を構成するのは「単品」ではありません。
どういうことか?
例えば、サントリーウエルネスさんは「セサミンEX」だけではなく、その他の商品(例えば「VARON」)も含めて、約1000億円の売上高を作っている、ということです。
2.なぜ「単品」ではないのか
「単品」で、例えば年商100億円、200億円の売上が作れれば、通販は非常にシンプルビジネスと言えます。
原価率、それ以外のコスト、作業工数などの圧縮も図れるでしょうし、事業計画そのものが非常にシンプルになります。
15年以上前は、言葉通りの「単品」(またはそれに近い、ごく限られた商品ラインナップ)で年商100億円以上の通販企業はいくつか存在しました。
今でも、通販・D2Cのスタートアップや個人またはSMB(中小)規模の通販事業者はもちろん「単品」で事業運用している先はあります(それでも、少なくなりましたが)
しかし、現実的には上記クラスの年商になってくると、「単品」だけでその規模の達成は、できない、やらない(目指さない)、というのが今の通販ビジネスのスタンダートになっていると言えます。
理由は大きく2点で
①CPO(CPA)とLTVのバランスが取れない
②アップセル・クロスセルのメリットを享受するため
理由①「CPO(CPA)とLTVのバランスが取れない」
これは非常にシンプルな構造なのですが、裏側のマーケティング理論としては、イノベーター理論に類似した現象が起こっているものと推測します。
新商品として発売当初に購入してくださる消費者、つまり「イノベーター」や「アーリーアダプター」は低いCPO(新規顧客の獲得単価)で獲得できるため、LTVとのバランスがとりやすいのですが、発売から経年し、多くの消費者が1度は広告にリーチした状態ですと、購入しないという判断を下している消費者が一定数いるため、CPOが相対的に悪いという現象が起こっている、というイメージです。
そして、同時に自社だけでなく競合他社の存在もあります。
では、ニッチな商品なら、どうかということもありますが、ニッチな商品だと今度は市場が小さいという課題が出てきます。
(これは詳細を語りだすと1本記事になるくらいのボリュームになるので、今回はここまでにします)
理由②「アップセル・クロスセルのメリットを享受するため」
2つ目の理由は、CRM、顧客育成、ひいてはLTV向上に関するものです。
消費者がフロント商品を購入し「顧客」になると、企業は顧客育成を行います(「教育」「ナーチャリング」という言い方をする企業もあります)。
アップセルおよびクロスセルを行うには、当然、その商品がないといけません。
・通常商品から上位商品へのアップセル
・A商品からA商品に関する商品Bを提案するクロスセル
これにより、LTVを上げる。
大きく上記2つを売上上位企業は戦略的に実践しているということです。
ポイントは、商品カテゴリーそれぞれの効果効能の距離感や一貫性だと考えます。
これが、バラバラだと全体のブランドイメージに一貫性がない、消費者としては不安に感じます。
3.トレンド
トレンドとしては、10億円から数十億円規模の年商クラスターをバンドにする企業が多い印象です。このクラスターが「商品」(またその「商品カテゴリ」)というイメージです。
なぜ、上記の規模感なのか、は前半で記載したイノベーター理論がある程度は根拠になっています。
また、商品は多すぎると、一見「総合通販」の色が出てきますが、管理上、CPOとLTVのバランスを見ながら、ダメなものはカットしていく形になります。
商品の保管にも当然コストがかかりますので、この辺りは当然です。
4.まとめ
どこまでの売上を目指すのか、という明確なビジョンが必要で、そこから柱となる商品を順番に構築、さらに育成することが求められます。
言うは易く行うは難しなのは、間違いないですが、無策に流行に流されて、商品を発売しても、目標にはたどり着けないし、ビジネスの勝率は上がらないと思います。