将棋と麻雀
将棋と麻雀は父親から教わったこと。
オトンは生前、平日が休みの仕事だったので、週末に子どもと遊ぶような父親ではなかった。
ただ、当時子どもだった僕からしても、特に不満があったわけでもなく、それが日常であって、強いて言えば、友達が家族で何処どこへ出かけたなんて話しを聞くと、やや嫉妬するくらいな感じ。
我が子と触れ合う時間が短いオトンも、子どもとの接点を見出そうとしてたのかもしれん。
そんなオトン、最初に将棋を教えてくれた。
小学校3年か4年くらいだったかな、玩具屋さんで売ってるようなプラスチック製の将棋盤セット。
それぞれの駒の役割と動かし方、そして盤上への配置、ゲームのすすめ方や戦略まで、一通りレクチャーを受けてから、オトンとは何度も対局した。
勝敗の記憶はあいまいだけど、時間がある時は「将棋やろか」みたいな流れで対局が始まる。
当時、理由はよくわかんないけど、学校内の流行りの一つが将棋だったんで、教えてくれたオトンのタイミングはドンピシャだった。
中学生になって以降だと思う、今度は麻雀を教えてくれた。
僕がまだ幼い頃は、オトンは友達と麻雀を楽しんでたようで、少しだけ記憶にあって、オトンが大事に持ってた麻雀セットはその当時の名残で、今でも形見的な感じで保管してるんです。
麻雀は将棋のようなわけにはいかず、覚えるのが難しかった。
一通りレクチャーを受けて、ある程度理解できたとしても、オトンと二人なんで、まず実践して身につけることができなかったんで、今ひとつ面白みを感じることができなかったんです。
その後、オトン亡くなってしまったんで、結局、実践で対局する機会もなかったのと、オンラインゲームでたまに対局するくらいで、実際に牌を使ってやることが無いまま、現在、押入れであの麻雀セットは眠ってる。
いかにも昭和的な親子の交流の仕方でしたが、あの時のオトンは、彼なりの子どもとのコミュニケーション手段だったのだろうと思うのです。