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生かすものは生かされる~農業から学んだ自然界の法則~【後編】
ゼロ地点を考える
農業体験先で出会った無農薬でイチゴを育てる恩師は、農業をやる上で何を大切にしているかというと
「ゼロ地点を考える」
農業を始める前に、もうこれ以上深堀できないよ、という所まで考える。
どうやったら作物が元気に育つのか、どうやったらその作物を食べて体が喜ぶようになるのか、なぜ私は農業をするのか、と。
なぜなら、まずスタート地点で自分の方向性が分かっていないと、後々「なんで俺こうなっちゃったんだろう」と思ってしまうから。
それは農業だけではなく、人間の世界でも同じことが言えるのかなと思います。
働いている人でも、50歳くらいで「なんで俺いまこの仕事しているんだろう」と我に返って仕事を辞めたりする人も同じことだと思います。
それを深掘っていくと、農業をやる上でのゼロ地点は、電子や微生物の世界です。そこではそのレベルの世界から農業を行っていました。
ただ作物を作るだけではなく、そこを理解するだけで食べ物を作る上での行動が変わり、できる作物も変わってくるのです。
なぜ彼がそのレベルまで考えて農業をしているのかというと、食が体に与える影響を理解しているからだと思います。
きっかけは、観光旅行で訪れたモンキーセンターでサルの奇形児を見たこと。その時の話をよく涙ぐんでお話して下さいました。
彼の原動力のきっかけはそこだと思います。
彼は「なぜ奇形児が生まれるのか」のゼロ地点を考えるとやはり食にたどり着くのです。
今でも彼はその原体験を大切に農業に向き合っている。彼が作る作物は人の体を喜ばせることができる。それは彼がゼロ地点を考え、行動してきたから。
食べ物を作ること、生かすこと
そんな体が喜ぶ作物を作る上で彼が気を付けていることは、生かすこと。
「生かすものは生かされる」
これも彼から教えて頂いた言葉。生かすこと。作物が生きたいように生かす。自然の流れに手を加えない。
雑草が生えてもあまり手は加えず、作物の自生を見守る。それでも作物は成長し、そこにいる作物は太陽の光を浴びようと抜け道を探しては太陽の方を向く。
その作物のなかの流れのようなものを止めない。作物の自生力のようなものを信じているんですね。彼がなぜその行動をとるかというと植物のサルの奇形児の話に戻る。
そのサルを身籠っていた母猿は、海外から輸入された成長促進剤や農薬により大量生産された飼料(エサ)を毎日食べていたといいます。
雑草や虫を排除したり、無理に成長させようとしたり、いわゆる自然の流れを人工的にゆがめている。
やはりそれって自然的ではないんですね。前編でも申し上げたように、私たちの体は自然物。その中に人工的なものが入ると体は異変を感じる。
今や不妊症やLGBTQや私の病気。
現代になって多くなっているこれらの問題をさかのぼると、人工的にゆがめられた食べ物を食べることが増えた時代背景にあるのかもしれません。
体が喜ぶものっていうのは、自然な食べ物なのです。
作物を生かす。それを食べることによって、私たちの体は喜ぶ。
これが「生かすものは、生かされる」ということ。
現代に入りそれは脅かされてきていますが、これはこれまで人間が当たり前に行ってきたことであり、自然界の法則でもあるのです。自然の流れというのは私たちが測り知れないところまで広がって作用しあっているのです。
そこで考えるのが、私たちの幸せについてです。すごいどこかの宗教みたいな話になりがちですが、こんな話を大自然に囲まれた農場でしてくれるので、体全体に話が浸透し、そんなこともふと考えるのです。
水をやっている時、手入れをしている時。いろんな事を考えるのです。
「生かすものは生かされる」これはまぎれもない自然界の法則です。
私たち人間も自然物です。この自然界の法則は私たちにも当てはまるのではないのか。
「生きたいのであれば、周りを生かしてあげなさい。」
自分の将来について悩んでいた僕にとって、とてもとても心が楽になる恩師からの言葉でした。
周りを生かしてあげる→自分も生かされる=幸せに繋がっている。
自分のゼロは周りを生かしてあげる事なんだと理解した瞬間でした。
だから私は、私のような病気で辛い思いをする人を減らしたいという思いでこういう文章を書いています。私しか話せない、これまでに経験してきたことを伝えることで救われる人がいてくれればいい。自分の経験を発信する。これがまず私にできる、生かすことだと感じたわけです。
私はこれまでに海外へ行って日本社会とは違う世界も見てきました。そういう世界を自分の目で見てきて、日本社会が全て正しいとなんて思っていません。その正解のようなものをずっと探しています。その自分が思う正解のような経験があれば書きますし、モノや場所として表現したいと思っています。
それが私にとっての使命であり幸せであると感じています。
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