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お雛様の箱に入っていたのは、過去の感情だった。

お雛様を出しました。
娘が二人なので、お雛様も2セットです。

お雛様の置き方は1年経ってすっかり忘れてしまっていたけれど、まるごとそのまんま、残っていたものがあります。

それは、感情

お雛様の箱を開けたとたん、過去の感情がブワッとあふれ出しました。まるで玉手箱を開けた途端、白い煙につつまれた浦島太郎みたいに。

思い出す感情は、辛いものばかりでした。

一人の時間がほしくて、娘を置いてどこかに逃げてしまいたいと思っていたことや

お金がなくて、毎月の光熱費の支払いもままならず、みじめな毎日だったこと。

それに、手っ取り早くまとまったお金が欲しくて風俗のバイトをするかどうか本気で考えていた記憶も、思い出しちゃいました。

そして、夫に対しての妬みも。娘が生まれても生活スタイルを変えない夫にいらだちました。残業も休日出勤も、飲み会も、当時の私にはできないことだったので。

うらやましい、うらやましい。

私だって働きたい、役に立ちたい。お金が欲しい。

ずるい、ずるい。

つらい、逃げたい。でも逃げられない。

お雛様の箱の中には、そんな気持ちがパンパンに詰まっていました。

お雛様は、私の黒い気持ちをずっと抱えてくれていたんですね。

こどもの成長を願うためのお雛様なのに。

・・・

娘たちはすっかり大きくなりました。
上の子は今年10歳、下の子も小学生になります。

自分でお風呂に入ったり、トイレに行ったり、ご飯も自分で食べられますし。「身の回りのお世話」で忙しかった過去が今となっては懐かしいです。

すくすくと大きくなる娘たち。私が作ったものを食べて、私の言葉を聞いて、育ってきたんだなぁ。

辛くて逃げたいと思っても逃げなかった。ご飯を作ってお世話して。よく頑張ったな、私。

今が辛いと思っても、いつか時間が解決してくれるのかもしれません。

娘たち、お嫁に行くのか行かないのか、今はわかりませんが、これからもお雛様と一緒に見守っていきます。

左が長女の、右が次女のものです。

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