【エクストリーム登校】登校前にビーチフラッグスやってみた
日の出90分前。2人の獅子児(世田谷学園の生徒の呼称)が制服で家を出た。
令和2年、冬。本校の毎年の行事である臘八摂心(座禅会)がコロナで中止となり、獅子児たちは無念の涙を飲んだ。
しかし、本来であれば摂心初日の12月1日、例年通り早朝に起きてしまった2人。彼らは始業時刻までの3時間30分を最大限に使って登校することにしたのだった。
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待ち合わせは藤沢駅。登校の友はクラスメートのW氏だ。久々に4時台に起床し、制服に着替える。最寄駅を朝5:00に後にし、新橋駅から東海道本線に乗り換えた。電車は月だけが輝く街を走り抜け、高輪ゲートウェイ駅を横目に品川方面へ向かう。川崎駅あたりから乗客も増え始め、6:18頃に藤沢駅に到着。そのまま専用改札で小田急線に入った。
先に到着していたW氏と車内で合流。数駅あとの片瀬江ノ島駅で降車した。まだ夜は開けていない。 地下道を通って浜に出ると、うっすらと広がる雲の奥は赤色に染まり始めていた。寒い。とにかく寒い。
浜では地元民かと思われる数人が散歩をしているなか、スーツ姿の一人の男性が自撮りをしていた。もしかすると私たちと同じことを考えているのかもしれない。
当たり前といえば当たり前なのだが、全体的に観光地とは思えないほど人が少ない。コロナ禍の今、混雑している場所にはいきたくないという人には、早起きしていく早朝観光もお勧めできそうだ。
乾いた浜の砂を裸足で踏みしめる。カメラをセットし、ペットボトルを置いた。
そう、私たちがわざわざ湘南の海にまでやって来たのは「ビーチフラッグス」をするためだ。ライフセーバーのトレーニングとして生まれたビーチフラッグス。20mほど離れたフラッグ(今回はペットボトルで代用)を目掛けて走るのだが、そのフラッグの数は選手の数より1つ少なくなっている。フラッグを掴めなかった選手がレースから除外され、またフラッグを一つ減らしてゲームを続行する。これを残る選手が一人になるまで続け、最後に残った選手が勝者となる、という競技だ。といっても今回は二人しかいないので、先にフラッグを手にした方をその競走の勝者とした。1回の競走にかかる時間はわずか4秒。なんと手軽な競技だろうか。
冷えきった砂の上を全力で駆け抜け、置いておいたペットボトルを掴み上げる。思わず息があがる。全三回の試合を終え、私が勝利した。W氏は1勝2敗で敗退。(彼には、学校で罰ゲームを受けてもらおう。)
明るくなってきた空を背に撤収の準備を始めると、時刻は既に6:35を回っていた。これでは江ノ電には間に合わないので、大人しく片瀬江ノ島駅から学校へ向かうことに。
近くのコンビニでお土産を手にし、小田急線に戻る。空は次第に明るくなってきていて、黄色味を帯びた雲がうっすらと浮かんでいた。
ところで、世の中には「エクストリーム出社協会」という団体が存在する。この協会メンバーは「エクストリーム出社」にチャレンジするのだが、これが面白い。
エクストリーム出社とは”極端”で”過激”な非日常体験をしながら定時出社も両立する新しい遊びのスタイルです。(エクストリーム出社協会HP)
私がこの協会の存在を初めて知ったのは、現在の担任の先生が昨年度この団体を紹介してくださったことがきっかけだった。
アクティビティが好きな自分も「エクストリーム登校」をやってみたいと強く感じ、今回やっとトライできたのだ。
この「エクストリーム出社」にはいくつかのルールがあるのだが、その一番の前提は定刻に遅れないことである。
というわけで、私とW氏も遅刻せぬよう学校を目指した。小田急線から湘南新宿ラインの快速を経て、渋谷駅へ。渋谷駅で乗り換え先の田園都市線に急いだときには、すっかり空も青く澄み渡っていた。
ここからはいつも通り、池尻大橋駅から学校に向かう。いつもと同じ登校をする他の学園生に紛れ、遅刻せずに登校した。
家から学校までの総移動距離は約120km。鉄道会社4社を使ったが、どこも遅延がなかったのは幸いだった。
さて、これで今回のエクストリーム登校は終了した。
荷物を下ろし、ちょうど落ち着いた私のもとに、つい3日前に同じくエクストリーム登校を経験したY.W君がやってきて、口を開いた。
「テスト開けた二週間後もエクストリーム登校しようぜ」
どうやら再び、朝が忙しくなりそうだ。
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※注
ちなみに、エクストリーム登校(出社)を実践すると、タイムマネジメント力の強化が期待できます。定刻に登校(出社)するという規則に従ったうえで最大限朝を楽しむために、時間の管理はとても大切だからです。時間を守るのが苦手な方は、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。
とはいえ、今回紹介した彼らのように試験一週間前を目前にしてエクストリーム登校することはお勧めしません。良い子はマネしないでください。
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