自分の心に正直になる。
人の心に寄り添うこと。
わたしが仕事で大切にしていることだ。
昨日、大阪国際女子マラソンを見ていた。
優勝した松田瑞生選手がゴール手前を走っているときに、彼女のインタビューシーンが流れた。
東京オリンピックの選考会で補欠となったことを振り返ったインタビューだった。
「補欠は、悔しくて、つらかったけど、『私にはこの結果をどうしあげることもできないけど、頑張ったみーちゃんを誇りに思う』って、山中監督が一緒に泣いてくれた。そのときに、私はこの人のために勝たなあかん。そして、この人に華を持たせてあげなあかんって思った」
そう語る彼女の姿を見て、ボロボロ涙が出た。
わたしの仕事は人に携わる仕事で、関われば関わるほど、終わりがない。相手を真剣に想えば想うほど、かかえる仕事が増える。それは、自分の時間を圧迫し、ときに自分の心が壊れてしまいそうになることもある。
家族のために、時短勤務という選択をしたけれど、自分の中で「時短だから仕方ない」と、淡々と仕事をこなし、人との距離を置いた。「これでいいんだ」と自分に言い聞かせ、毎日を過ごしていた。
このインタビューの言葉を聞いて、ハッとした。わたしは何を言い訳してたんだろう。働く時間が短いことは関係ない。大したことはできない。でも、だれかの心にそっと寄り添えることはできるはず。それが、わたしが今まで大切にしてきたことだったんだから。心の奥の方に、鍵をかけてしまっていた気持ちが、今にも溢れだしそうだった。
絡まった毛糸をほどくときに、目の前の1本の毛糸だけに集中すると、少しずつ絡まりはほどけていく。
そうだ。わたしは「人の心に寄り添う」ためにこの仕事を選んだんだった。そうだ。自分の大切にしたいことだけに集中すればいいんだ。それ以上求める必要は何もない。心の絡まりが、少しほどけた気がした。
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