【#シロクマ文芸部3月】⑤親指姫
1カ月の全お題を使って一つの物語を作るチャレンジをしています。レギュラー部員は月初めにお題を全部教えてもらえるので思いつきました。今日はその5回目。
いつもシロクマ文芸部の活動は日曜に行っていますが、明日はnoteステッチ部ドンケツ女王争いの大切な日。今月は本気でドンケツを取りに行くとヒスイさんに宣言しておりますので、シロクマ文芸部を土曜に投稿します🙌
それではシロクマ文芸部3月の物語の①~④を紹介した後、最終回⑤へと移らせていただきます♪
1回目はこちら👇
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始まりは3月最後のこびとの散歩だった。桜も咲き始め少しこびとの花粉症も落ち着いたので「いりいり菜の花弁当を持って花見を楽しむことにしたのだ。
「さやいんげんのスジ取り、楽しかったね」
こびとが手伝いたがるのでスジ取りを任せたのだが、その姿があまりに可愛くて何度も見たいと思ってしまった。これからはスジ取りは全てこびとにやってもらおうとニマニマしていると
「あ!チューリップ!」
と肩の上でこびとが叫んだ。公園の広々とした花壇に色とりどりのチューリップが咲き乱れていた。
「こびとはチューリップが好きなの?」
「うん!チューリップには親指姫がいるから」
そういうなり、こびとはぴょんと肩から飛び降りチューリップの中へ入ってしまった。
そうか、こびとには友達がいるのね。姫ということは女の子か。あれ?親指姫って言わなかった?親指姫って苦労の末に王子と結婚してこびとの国で幸せに暮らす話だった気が。じゃあうちのこびとって王子だったの?
と呑気に感心していて、ふと気づいた。親指姫と結婚してこびとの国で幸せに暮らすなら今の生活は?あの楽しくて可愛い時間はどうなるの?
こびととの生活がなくなることに耐えられなくなった私は思わずチューリップの咲く花壇に駆け寄った。
「こびと!」
「なあに?」
と呑気なこびとの声がして花壇から男性が立ち上がった。え?なんで男の人?こびとって実は魔法でこびとに変えられていたの?でも私、こびとを投げてもいないし踏みつけてもいないし魔法を解く技を使っていないのに!人間の男じゃなくてこびとが良かったよぉ!
頭をグルグルさせながら涙目になっていると
「だ、大丈夫ですか?」
と元こびとに声をかけられた。
「どうしたの?」
続けてこびとの声が下の方から聞こえてきたので視線を落とすと、男の人の足元に2人のこびとが手を繋いで立っていた。
「え?」
「このお兄さん、親指姫のところのお兄さんなんだって」
「えっ!」
瞬時に自分の勘違いを悟り赤面。男の人も察したのか「ははは」となんともいえない表情で笑っている。
「お兄さん、お腹すいた」
親指姫が服によちよち登りながらおねだりをする。
「お姉さん、僕も」
5分後、広場でレジャーシートを敷き4人で座る。いりいり菜の花玉子を両手に持ち口に運びながら、こびと2人はニコニコとしている。お兄さんが「美味しいですね」と言い、お姉さんが「アリガトウゴザイマス……」と顔を赤くしている。
桜は3分咲き、お日様がポカポカとした穏やかな週末でした。
3月の物語完成です!
シロクマ文芸部員として4月も1か月連載の物語頑張ります!
小牧幸助部長、今週もありがとうござました🙌
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