【#毎週ショートショートnote】レース前日の鳩舎では
「我々の存在とはなんぞや!」
鳩舎内に年寄り鳩の声が響く。
「キュートさ?」「スマートさ?」
馬鹿者ぉ!と年寄り鳩が若い鳩を叱る。
「我々は昔から伝書鳩として誇り高い使命を全うしてきた。それが今やレース鳩として速さを競うだけとなっている。我々は速さと情報を届ける尊い存在だったのじゃ……」
レース鳩でいいじゃん、大切にされているんだしぃと若い鳩が口を挟む。
「黙らっしゃい!速さを競うだけでなく情報を伝える動物として我々は誇りを持って堂々と……」
「おじいちゃん、どうしたの?」
幼い鳩が母鳩に問う。
伝書鳩パーティーが開かれるといつもああなの、黙って聞いていなさいと言いながら母鳩は妻の顔を夫に向ける。
「明日はレースですから、早くお休みになって」
「ありがとう、でももう暫くお義父さんの演説を聞きたい」
レース前日、鳩舎では恒例の伝書鳩パーティーが行われる。
グルッポーグルッポーと鳩同士が世代を超えて伝書鳩の心構えを自然と学んでいるのだ。
(409文字)
お題:伝書鳩パーティー
裏お題:風見鶏ローディー
でした。
たらはかにさん
今週も楽しかったです♪
来週も頑張ります🙌