『レジャー白書』の数字をどう見るか
【注意】この記事は、『レジャー白書』に載っているデータのうち、麻雀の参加人口について書いています。同書に記載されている他のデータについては、必ずしも当てはまるとはかぎりません。
私はここ10年くらい、毎年、『レジャー白書』の麻雀関連のデータを元にしたブログを書いています。昨年の『レジャー白書2021』に記載されている2020年のデータはこんな感じでした。
コロナ禍で、麻雀を含む多くのレジャーが参加人口・市場規模ともに縮小しました。インドア志向が強まり、動画鑑賞がレジャー活動の首位に躍り出ています。
『レジャー白書』の数字が当てにならない3つの理由
長年ネタにしているとはいえ、私は『レジャー白書』のデータを盲信しているわけではありません。麻雀の参加人口についていえば、当てにならない理由は以下の3つです。
1.標本誤差
『レジャー白書』の調査対象は、15〜79歳の男女・約3千人です。『レジャー白書2021』では、3,246人のアンケートから、同年代の国内人口9,896万人の動向を見積もっています。つまり、1人分のアンケートが3万人に相当するわけです。誤差が出て当然ですよね。
このことから、私は、「単年のデータは当てにならないが、複数年の傾向は参考になる」と考えています。
2.子供と老人は対象外
前述のとおり、『レジャー白書』の調査対象は、15〜79歳です。つまり、2020年でいえば、14歳以下の1,498万人と、80歳以上の1,170万人、合わせて約2,700万人はデータから除外されています。
この表のとおり、ここ何年も麻雀の参加人口で最も多い年代は70代です。そうすると、80代以上も麻雀をけっこう打っているのではないか、という推測が成り立ちます。この年代を含めることで、麻雀の参加人口は一気に増える可能性がある一方、新型コロナウイルスの危険性が最も高い年代なので、近年になって激減している可能性もあります。
そして、今年の『レジャー白書2022』は、特別調査として、80代のデータを含めています。そりゃ、日本は超高齢化社会なので、いいかげん無視できないよなと。70代なんて、まだまだヒヨッコですよ……。
もう一方の14歳以下については、『レジャー白書2016』に「少子化時代のキッズレジャー」という特集があり、以下のブログ記事で取り上げています。
この表によれば、2015年時点では、麻雀は、子供はほとんどやっておらず、親もまったく期待してないという状態でした。女子に至ってはゼロですよ、ゼロ。
一方、将棋の子供人口はかなり多く、15歳以上の参加人口の3割近い数字です。藤井聡太くんが14歳でプロ入りした2016年以降、将棋の子供人口がどれくらい伸びているかは気になるところです。
3.オンライン麻雀も対象外
『レジャー白書』における「麻雀」はリアル麻雀を指すのであり、オンライン麻雀は「オンラインゲーム」に含まれるというのが常識的な見方だと思います。また、連盟のドル箱である「麻雀格闘倶楽部」は「ゲームセンター」に含まれます。
オンライン麻雀の有名どころを挙げると、天鳳の現在までの累計登録者数は650万人であり、雀魂は2018年のサービス開始(日本では2019年)からわずか4年の今年7月に登録者数750万人を達成しました。ユーザーは国内だけではないとはいえ錚々たる数字ですが、アクティブユーザー数については不明です。
こうしたゲーム麻雀人口を足せば、麻雀の参加人口はさらに増えます。なお、2020年の麻雀の参加人口は400万人、オンラインゲームは1,310万人、ゲームセンターは1,040万人でした。
「観る雀」も入ってない
いわゆる「観る雀」(自分では打たずに、Mリーグ等のプロの試合を観戦するだけの麻雀ファン)も、『レジャー白書』のデータには入っていません。観る雀は麻雀のプレイヤーではないので、当然といえば当然ですが、一部の麻雀ファンは除外されているということですね。
ただし、これについては、2019年にMリーグ機構が発表したデータがあります。
サンプル数は1万人なので、『レジャー白書』の3千人より信憑性は高いですが、
というあたりを見ると、ホンマかいな、という気もします。300万人もの人間がルールもろくにわからずに観ていられるものかと。Mリーグ機構、大丈夫? 盛ってない?
いずれにせよ、『レジャー白書』のものだけでなく複数のデータを検証したいので、Mリーグ機構には今後も調査を続けてもらいたいですね。
麻雀はこれで安泰といえるのか?
麻雀の参加人口については、『レジャー白書』のデータだけでは実情はわからないことを長々と説明してきました。
じゃあ、リアル麻雀は減ってるけど、オンライン麻雀は増えてるし、観る雀もいるから大丈夫となるのかというと、私はけっこう懐疑的なんですね。雀荘は次々とつぶれ、タバコをバカスカ吸いながら打っていた昭和のおっちゃんたちは死滅し、大地は割れ、海は干上がっています。オンライン麻雀が主流になり、リアル麻雀は都内と老人ホームでしか打てなくなったら、麻雀文化は持続可能なのかなあ、と思っています。
そうした懸念を抱えつつ、毎年、『レジャー白書』の当てにならないデータを見ているのです。
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