きみの名は 世界でいちばん いとおしい詩
ひとが ひとを おもう ひとを ひとと おもう ただ それだけのことなのに
誰もが皆 何者でもなく かけがえのない者
愛す愛さえ 愛そのものから あずけられ きみを愛す わたしとは きみを愛する者だった
つないだ 手と手 合わせる 手と手
懐かしく予感めいたもの
いくどもすくわれ いつでもすくわれ
臨在し内在する神とともに 神の国へと歩みゆく
涙を なみだと書くと あみだにみえて うるみます
愛にあれ 愛であれ
ひとが真に読むべきは 己の書よりほかにない
生きねばと思う一方 死にたいとの声がする 生きさせろとの声もする いつでも死ぬる覚悟はある
生まれてきて良かった(ありがとう) 生きていて良かった(ありがとう) でもうまく生きられない(ごめんね) 少し長く生きすぎた(気もする)
愛をみることはできない いまにもあなたへ消えてゆくから
美に仕える 美を捧げる
傍らの神 片腹の神
引き受けてゆく覚悟 手放してゆく覚悟
いまここから自由になる じぶんから自由になる わたしはあなた あなたはわたし
雨のように降りてくる詩 泉のように湧いてくる詩
往って お還り (往きっぱなしなら ほんとうに死んでしまうよ 小さく死んで還っておいで)
愛するひとに愛されること 一篇の詩を一生をかけて世へ書きおくること
愛し愛され愛し抜く至福
はからずも はからわれ ひとりでに ひとり立つ
いにしえは とこしえに 生きながら 生まれつづける
おのずからのわれ われのないわれ意識
飛べない鳥 しかし いつかは翔けたのだ 鳴かない鳥 とはいえ ときに哭いているのだ
純度高く 熱量高く
光をみる者は闇もみる 深く生きた者は深く死ぬ
こなたでは あとかたもない あなたはかなた あなたはソナタ
死は彼岸に生まれること 生は此岸に死ぬこと
祈るときには 祈られている 祈るときこそ 祈られている
深く死なんがために 深く生きる ひとりのきわみを歩み抜く
美が われの前にもあらわれる これが救いでなくて何か
魂は喪失さえも享受した 喪失を一生かけて生きていく
ひとはみなきせきの途中
いのりよ こもれ いのちよ ともれ
言の葉よ 言の刃でなく 言の羽となれ
彼岸は悲願 此岸は志願
いまわにもあたいする詩であるように いまわにもおくられる詩であるように 百年のときも超えゆく詩であるように 百年ののちにも生ける詩であるように
死者には敵わない しかし死者は思うのだろう 生者には敵わないと