02 覆水は盆に返らない。しかも、困ったことには、その水の汚れ方が半端ではない。汚れた水の処理については、ほぼ何もできない以上、あとは祈るだけだ。祈りには、確かな力があることを、信じて。
07 五年と七日が経って、まだ天に還れずそこここを彷徨う魂たちに、鎮魂の言葉を送る。再生への道は、曲がりくねって遠い。影響があらわれるのは、まだまだこれからだ。けれど、そののしかかってくる事態の重さに負けずに、ぼくたちは、明日へと歩いてゆく。だから、どうか安らかにお休みください。
05 明日のことなど思い悩むのはやめて、今この瞬間に集中する。この一瞬の中に、未来も過去もすべての歴史が内包されているのだから。ぼくらは、過去の悲劇を浄化しつつも、この現在という懐に追憶を抱え続け、そして未来への希望もしっかりと胸に抱いて、今を歩き続ける。
03 事件が起こったとき、現場に居合わせなかったものは、その事件を間接的にしか語ることができない。当事者との間には、越えられない経験の壁があることを分かった上で、同じ人間として言葉を交わすことのできる想像力を持ちたい。
01 忌まわしき事態を弔い、過去のものとすることで、浄化への道をひらくことは、大切なことに違いない。同時に、現在も続いている事態を落ち着いて受け止め、最善の対処をするべく、日々気持ちを新たにすることは、しんどいことではあるが、誰かが引き受けねばならないことのように思える。
06 人生には山も谷もある。つらいこと、悲しいことがあっても、素晴らしかった過去の記憶を思い起こし、明日への希望へとつなごう。今はまだ傷は癒えなくても、十分な時間をかけて回復をはかて。たとえ傷口に塩を塗られても、手を取り合い、遠くの光を目指して、ゆっくりと進み続ける。
04 事態はじわじわと悪化していく一方にも思える。本当のところは分からないが、進行形の手探り状態の中で、それでもぼくらは前に進んでいくしかない。多数派の意見に惑わされず、自分の直感を信じて、同時に一人でできることの限界もはっきりとわきまえて。ただ淡々と、日々を生きていくのだ。