あんなに大きいのだからてっきり鮪か鰹かと思った、と話そうとしたのに「マツオ」が口から出てきて笑った。いっぺんに言うならマツオ。部屋の端から端まである細長い焼き台をぐるりと囲む客たち。わたしと兄はさらにその外をぐるぐる歩き、回り、魚や夏野菜をひっくり返す時を見はからっている。