それが撮りたいものかどうかは別として、撮るべきものはどこにでもある。 暗い部屋から明るい向こう側を覗きこむ。 ちょうど窓の外を眺めるように。 窓の向こうの時間はどんな時間が流れているのか。 風景は撮られることで新しい意味を帯びる。
特定の作風を目指すのか、あるいは意図的に揺らぎを作るのか。 何を語るのか、志あるいは信念はどこにあるのか。 期待像を忠実になぞるのか見えそうで見えないイメージを追求するのか。 写真は必ずしもリアルではない。 何かしらの揺らぎがそこにある。
反復は妥協ではない。 むしろ挑戦である。 繰り返す中で何を見出していくのか。 思えば写真でも執筆でも完成しそうでしきらない。 いわば未完を追いかけ続けている。
忘れ物を探しに。 そこにあるものを信じて。 時代の中に残されたものをしばし見つめる。 新しい音を響かせていく中で。
写真は必ずしも偶然ではない。 何を撮ったかだけでなく、何を撮りたかったか。 イメージや概念、あるいは信念。 信じたものが信じたとおりに現れるわけではないが。 それでも信じた先に見えるものが未来への約束。
遠くにいる大切な人を思う。 すぐに会えるかどうかはわからないもどかしさ。 ひとつの信念を抱いて待つ。 「きっと会いましょう」 信じれば叶うわけではないが、信じなければ何も始まらない。