イト子さんはホームの生活を受け入れたんだと安心していたんだけど、歩行練習用のバーに掴まって筋力が回復していない足でよろめきながら懸命に歩いて見せるんだ。「ここにはいつまで居なくちゃいけないのかしらね」って。認知機能も行ったり来たりだから不意に思い出すんだろうね。一度家に帰ろうか。