11月26日、とうとうシャクトリムシが土に潜った。昨日ちょうど、フランス映画に出てくる子供部屋おじさんの名前にちなんで"Tanguy"と名前をつけたところだったのに。 かくいうわたしは、勇気を出して前職場に連絡をした。返事は期待外れなものだった。ふたりで出発できたと思ったのにな。
11月24日、今日もサナギにならない。目下の心配は、部屋にいる間にサナギになる場所を探して旅に出ないかということ。彼らは土に潜ってサナギになり冬を越すと聞く。土はあいにく、足元にしかない。だから遠くへ行きませんように。 いつからか、出会ったものにはできるだけしんでほしくない。
夜にはバジルを部屋に入れる。するとシャクトリムシはだいだいこの形をしている。これが寝ているスタイルなんだろうか。 結局職場にメールはしないで1週間。きみもサナギにならずに1週間。お互い、ニートだねぇ。
辞めた職場がさ、大変なんだって。心配なのと、戻りたいのと、カッコ悪いのがゴチャ混ぜでさ。。またメールできなかったんだぁ。聞こえてる? 11月22日、上からアングル。きみはいつになったらサナギになるのかな。
生きてんじゃねーか。 勝手に殺すもの、勝手に生きるもの。
失意の中、人に会うため中野へ。電車に乗ると家人からメールあり。さっき生き返ったとのこと。送られた写真には、切らずにおいた糸を支え(のよう)に起き上がるシャクトリムシの姿。あの世とこの世をつなぐ糸だったのか、あるいはただ寝ていただけなのか。冷たい雨の降る中、心ほっこり。
11月20日、前日より気温が10度下がる。早朝ベランダに出ると、自分の口から出した糸に吊られて動かない。土の上に置いてあげたが、糸を切ることはためらわれた。あと数日で蛹になれたろうにひどいじゃないかと哀しくなる。一縷の望みに賭け、バジルを部屋に。命は感じられないのに。
家人はイモムシはいなくなったと言っていたが、11月19日、いざバジルを見たら倍近く大きくなったシャクトリムシが、枝にアゴ乗せしていた。あまりの大きさに悲鳴をあげる。 犬などがアゴ乗せするのはとてもかわいいのに、イモムシだとかわいくないという不条理。
以来毎朝写真を撮っては家人とウォーリーはどこだごっこをして遊ぶ。3cmを超えたところで実家に帰る日がやってきた。戻りは10日後。そんなころにはもう蛹になっているかな。少し後ろ髪を引かれた11月7日。
ベランダバジルのシャクトリムシを観察中。11月初旬に葉っぱから転げ落ちたのを救出して以来毎日観察している。これは11月2日撮影。