トーマス・マン『ヴェニスに死す』で描かれているヴェネツィアは、どこかインド的にも感じられます。主人公の老人であるアッシェンバッハが見る夢では、雄山羊の生贄が捧げられ、群衆は狂乱しながら宴が催されていました。ヴェネツィアのよどんだ熱風の描写も、棺のような手漕ぎ船も特徴的です。