黒南風に圧され、雨合羽の頭巾が往往に捲れてしまう。 重しを置けば好いと閃いた。 亀甲紋の背囊から取り出した皿を頭に載せた。 信号を待つ間にキッコーマンのごま肉味噌に 胡瓜を軽く和えた物を装い、道すがら齧る。 儂は白狐の『もうじむ太朗』だ。 河童の『ケンヒキ太郎』では無い。