切りすぎた襟足に名残雪やさしく
他人の幸せ妬みながら鉢に水やる
0401明日以降も嘘をつくだろう人々の祭り
君を詠む 壁に投げつける悪球は 月の満ち欠けぐらい重くて
白み始めた空にカラス 口吻 虚無虚無虚無と挨拶交わして
名前をつけて箱を開けたら逃げるのが大人 パンドラは笑う
香料も着色料も保存料も 皆 身につけて 伽は始まる
色が無い空を見上げてる日の戯言はいつも「そのうち会おうね」
睡蓮の花が胸に咲いた と 老婆は少女になって詠うの
5時限目の窓から「大丈夫」の根拠探してた透明な眼で
あのひとの声すら耳鳴りになって日曜日
三日月に寄り添う星に「寂しい」と百十万回唱えてみる
やさしいひとの目はサーチライト 今日は何人処刑台まで
世界をわざと歪ませて見る君 指で作ったファインダー越しに
尾崎の歳を超え未だに問う 「私は上手く笑えていますか」
母のお腹に忘れたプライドは灰になり消えた 母と一緒に
聞いてるふりも疲れたでしょうと瞬く星に問わず語りの夜に
行きずりの絵に抱かれて思う 傷は傷のまま 私は私のまま
投げた賽はどこへ行ったのか 探しもせず ただ大人になった
所在確認する間もなく夕べの熱量腹に乗っかっている
腹の内など知らない 恋慕と羨望「貴方が居る」ただそれだけ
夜床を這う虫になりたい 陽は眩しすぎて耳鳴りがする
定型文で退社した日のいつもよりうんと饒舌な空
夕映え リュックに反射するうそまこと !(エクスクラメーションマーク)前後不覚
名付けたらあなたはいなくなりますか? 分別出来ないものが増えるだけ
疑似餌に群がる魚 魚のような人が釣られてく海を見てる
モノクロの服着た日にレンゲツツジふわり煽る
つられて泣いてみたかったテレビの向こうのどしゃ降りの雨
やきもちポッケに真夜中を突き破れ 夜のニュースが始まる前にママのおなかに帰る準備をしよう
明日とかどの口が言うこの口が切り捨てた昨日今日が嗤ってる 何者にも成れなかった世界にも風は吹く此が時代だと
あの日と同じ晴れで桜で母さんと呼んでみる
・安直すぎる夜の歯みがき粉の味 ・ポッケに月の裏側と嘘ふたつ ・虚言がハウリングしてるおやすみ
・ないものねだりで右からの上手投げ ・うねうねとくせ毛揺らぐ日君は何処 ・おやつに諸行無常は含まれますか
彩(いろどり)の無い土日祝あと幾度
歯のかたち忘れた頃にまた会おう
此処で泣いたふりして四十雀とべ
薄い人生の代償のスピリッツ
虫になる星になる所以零になる
古い辞書「さびしい」が二通りだけ
偶像崇拝風味も食べ飽きた