直近の問題としてスタグフレーションの危険がある。輸入価格の上昇が落ち着いたにもかかわらず国内消費者物価の上昇が収まらない。宿泊飲食業において賃金が上昇しているためだ。また財政支出の増加に対する財源手当を考えるべきだ。法人税の見直しが必要だ。
日本経済は深刻な病に冒されている。世界各国が目覚ましく成長する中で、日本は停滞し、賃金は30年以上にわたって上昇していない。最近では、海外でのインフレが輸入されて、日本の物価を著しく上昇させている。それにもかかわらず、政策当局は、これらの問題に正面から取り組もうとしない。
ヨーロッパ諸国と比べてみると、イギリスやドイツは日本より所得が高い国となっている。イギリスは金融業を中心として回復しており、日本がこれをまねるのは難しい。
企業時価総額の世界ランキングで、上位がアメリカのハイテク企業によって占められる状況は変わっていない。100位以内の日本企業の数は、ヨーロッパに比べても見劣りがする。これはアメリカで企業の新陳代謝が進んでいるのに対して日本では進んでいないからだ。
私は、金融緩和と円安政策を進めたことが、日本企業の技術革新力を喪失させた根本的原因だと考えている。そして、技術開発力の衰退が日本衰退の最大の原因だと考えている。しかし、日本銀行は、そのような結論は出さないだろう。 #どうすれば日本経済は復活できるのか
日本とアメリカの間には大きな差ができてしまった。産業構造も大きく異なる。残念ながら、日本がアメリカのようになることは、もはや夢のような話になってしまった。 #どうすれば日本経済は復活できるのか
日本の起業率の低さは以前から問題とされている。その原因としてさまざまなことが指摘されてきた。人材の不足、起業資金の不足等々だ。しかし、最も重要な要因は、日本政府が古い産業構造を温存する経済政策を取ったことだ。 #どうすれば日本経済は復活できるのか
2000年の沖縄サミットのときにG8で最も豊かな国であった日本は、現在ではG7で最も貧しい国だ。こうなったのは、日本企業が円安に安住して、技術開発や企業改革を怠ったからだ。
日本病から脱却するためにまず必要なのは、なぜ日本病に陥ったのか、原因を明らかにすることだ。日本病の原因は人口高齢化なのか? そうであるのなら、なぜ金融緩和で物価を引き上げようとしたのか?
為替レートとして購買力平価で評価すると、いまの日本の相対的な豊かさは、1970年代の水準にまで低下してしまった。賃金の国際比較では、フルタイム等価の概念が重要だ。
日本人の所得がアメリカやヨーロッパなどの先進国に比べて低くなっていることは、大きな問題だ。しかし、問題はそれだけではない。 アジア新興国や開発途上国の人々の所得が日本に迫ってきている。 #どうすれば日本経済は復活できるのか
韓国、台湾、香港、シンガポールは1970年代においては工業品の輸出を急増させつつある発展途上国だった。それがいまでは香港とシンガポールは1人当たりGDPで日本をはるかに上回っている。そして韓国と台湾が日本に追いつき追い抜こうとしているわけだ。 #どうすれば日本経済は復活できるのか
2000年のG8サミットでは、日本は1人当たりGDPがG8で最も豊かな国であった。しかし、2023年のサミットでは、最も貧しい国になってしまった。この二十数年間に、世界経済での日本の位置は、大きく低下した。 #どうすれば日本経済は復活できるのか
現在の日本の政府は長期的な見通しを持たないまま、バラマキ政策が行われている。問題が生じれば、その都度補助金を出す。出生率が低下すれば、児童手当を増額する。半導体産業で日本が弱体化すれば、日本に工場を誘致するための補助金を出す。 #どうすれば日本経済は復活できるのか