雨の日も神様と相撲を(作=城平京 画=戸賀環)前編 どちらかと言うと俺が城平京作品に出会ってからの話
ワタクシhasegawonderは別にオツムのよろしいタイプの人間じゃ決してございませんが、ミステリ的なものが好きなんでございますよ。多分小学生時代無駄に読んでた怪人20面相とか金田一少年とかの影響ですね(割と最初期世代ではあるけど、コナンには一切影響を受けていませんので悪しからず)。
とは言え歳を取るにつれ、金田一は年々読むのが辛くなってきてしまった。好きな人もいるだろうからこんな言い方をするのもアレだが、ありゃ毎週土曜9時に日テレでやってたドラマ効果がデカかった気がするんだよな。まんまとメディアのブーストを受けて、なんとなく読んでたというか……ホント今読むのはキツいと思ってしまうんだよなスマン好きな人‼︎
「スナックバス江」より。金田一ファンの皆様、なるべく早く死ぬので許してください‼︎
俺にミステリ漫画の面白さを教えてくれた2人の偉大な作家
それはさておき、ミステリ読むなら小説の方がいいんじゃね? と調子こいてた時期もありましてな、漫画で推理系を読む事もめっきりなくなっていたワタクシのその曇り切った眼を覚ましてくれた作家さんが2人おります。1人目が「Q.E.D」シリーズでお馴染み加藤元浩先生です。
「Q.E.D. IFF-証明終了-」より。このシリーズに関しては書きたい事が沢山あるので、いずれね。
加藤元浩先生の作品は、とにかく淡々とストーリーを進めていく凄さ。とんでもない結末の回でも1コマで済ましたりと、必要以上に情感を込めない代わりに見ている側に委ねられる。これはなかなかできるモンじゃないと思ってるので、気になる方は是非‼︎
最後のコマに色々込められるこのセリフ。喜怒哀楽、すべてをこれで表現する凄さなんだよな。
2人目が今回紹介する作品の原作者である城平京先生です。俺の世代だと「スパイラル〜推理の絆〜」なんかがめちゃ有名ですな。
舐めきっていた怪作「スパイラル〜推理の絆〜」
推理というよりはファンタジックな展開あり、バトルありな感じで推理って感じでもあんまなくね? と当初は水野英多先生の絵も苦手で、何つーか当時のガンガンとかエースとかにありがちな「可愛いキャラがキャッキャしてるだけで特に面白くない」感じの作品だと勝手に思ってましてな……連載が終わった後、当時働いてた古本屋の後輩に「スパイラルはちゃんと面白いですよ‼︎」的な力説をされたのと、そいつも「Q.E.D.」好きだったからんじゃ読んでみるかとなったわけでね。結果は推して知るべし‼︎
「最果てのソルテ」より。歳を取ってもやりがちな、先入観で面白い作品を見逃すって奴はよくあるんだよ……
スパイラルの、ここでは詳しく語らないけど「コイツがいる事で、どれだけこの物語に都合が良くなってると思ってんねん」ということ自体が仕掛けだったというあの展開にはもうね、鳥肌モンでしたよ……
「神様のバレー」より
城平作品のキモは、舞台設定でどんでん返す
その後城平京先生の原作モノを読み漁った結果、特徴は推理どうこうではなく「ストーリー展開やキャラを、根幹を揺るがすようなどんでん返し」に使うんだよね。これがマジでパネェのよ‼︎ 最近の代表作「虚構推理」の最初のシリーズである鋼人七瀬なんかはまさにこんな感じでしょ?
「虚構推理」より。これもそういう解決法‼︎ と度肝を抜かれたもんだ。全然正しくないけど、すべてをブチ抜いて読者に衝撃を与える‼︎
そこで今回の作品「雨の日も神様と相撲を」は、城平京先生の持ち味がすべて出ている全3冊と言っても過言ではないんじゃないでしょうか。なんせスポーツ(相撲)、ファンタジー、ミステリとどれに形容していいのやらというごった返したストーリーなのに不穏だし、かと言って悪い感じもせず最後まで読めば「そういう事だったのかすげぇ‼︎」になる。
という訳で今回は前置きが長くなり過ぎたので、久々の前後編‼︎
「雨の日も神様と相撲を」より