先生のこと 1月25日
昨年後半から考えていたことだが、自分のからだのこと、
お店と文筆業のバランス、実家の母のことや、何より土台となる
暮らしの立て直しなど、いろーんなことを考慮&悩んだ末に
2024年からはお店の定休日を1日増やすことにした。
展示会やイベントがあるときはその都度変わるが、
基本は営業日は土・日・月の3日間に変更。
お店の入り口には昨年末から貼り紙をしてみたが、
たぶんあまり読まれていない。
「ここはいつ来ても休んでいて…」と、言われてしまうことが
これまで以上に増えてしまうだろうが、ひとりでお店を続ける以上、
身体をこわしては元も子もないし、体調を崩したとしても、
誰も責任を取ってくれるわけではないのだし。などと、
気が小さいので自分にそう言い聞かせている。
わがまま営業と言えばそうなのだが、自己防衛というのか。
そもそも結婚がきっかけとはいえ、東京から移住をして
三春で暮らすことを決めた際には、「自分たちの暮しというものを
ここで一から積み重ねていこう」そう決めたのだから。うむ。
昨日は私の人生の師匠として敬愛しているお習字の先生のところへ
夫君とともに新年のご挨拶へ伺った。
先生はもう70代も半ばになると思うが、お肌もピカピカ。
べっ甲でできたアンティークのメガネフレームに黒のニットのコーディネイト。ベリーショートのシルバーヘアがよく映えていやはや昨日も素敵だった。玄関には柳の枝にピンクのお餅をつけた小正月飾り。
ガラスの天板テーブルの下には先生が書かれた松竹梅の文字が飾られて。
いつも伺う度に心の中で「わぁ!わぁ!」と感嘆の声をあげている。
窓から見える景色、季節を意識した設えや、洗面所に活けられた
蝋梅の美しさまで、全てが行き届いている。
昨日はお習字をする時間までは取れず、ひたすらおしゃべり。
そのお供には畑から収穫した野菜などを使った先生お手製の
おやつをいただきながら。
「やりたいことはたくさんあると思うけれど、全部をやろうとせずに、
今はできなくても好きだなぁとか、やりたいと思い続けることが
大事だと思いますよ」
「(やら)ねばと、自分で自分をしばってしまわないように」
「歳を重ねて好きなことがあるって、それだけで毎日が
満たされますからね」
先生にとってはそれが畑しごとであり、料理であり、お習字であり、
ほかにも色々。
「食べることも好きですし大事ですけれど、私の場合はそれだけでは足りなくて、美しいものに触れたり、学びがあるようなそうしたことも無いとね」
そんなお話をたっぷりのユーモアを交えてお話して下さる姿は、
目上の方に失礼かもしれないがとてもチャーミングで
まぶしいくらいキラキラしていらっしゃる。
「今は瓶の蓋がまっすぐにはまらずにいるようなときかもしれないけれど、
そのうちカチッとぴったりはまるときがきますから。ね、ちえさん」
はぁ~。伺う言葉全てにホッとさせてもらっているというか、
ストンと腹落ちがする。
少し先の未来、自分がこうありたいと思う方に出会えたことは
もうそれ自体が天からのギフト。
いつも先生にお会いすると、元気を頂いてキュッと気が引き締まる。
そうなるとまたつい、ぶぉんぶぉんとエンジンをふかしそうになるが、
「おいおい待てよ」と、自分で自分の首根っこををつかまえて、深呼吸。
ほんと、今年は「今日もひとつひとつ」で進もうと思う。
1月25日(木)晴れ 時々吹雪 最低気温 -3℃ 最高気温0℃
暦の大寒通り、「そうそうこの寒さだよね」という厳しい寒さ。
気温が低すぎて降った雪が地吹雪のように白く煙る昨日、今日。
風の音がごぉーごぉーと大きい。