長谷川ちえ

エッセイスト/「in-kyo」店主。 「三春タイムズ」vol.25〜48が書籍『続・三春タイムズ』(文・長谷川ちえ 素描・shunshun)として 2023年春、信陽堂https://shinyodo.netより書籍化されました。前回に引き続き造本装幀はサイトヲヒデユキさん。

長谷川ちえ

エッセイスト/「in-kyo」店主。 「三春タイムズ」vol.25〜48が書籍『続・三春タイムズ』(文・長谷川ちえ 素描・shunshun)として 2023年春、信陽堂https://shinyodo.netより書籍化されました。前回に引き続き造本装幀はサイトヲヒデユキさん。

マガジン

  • 日記 / in-kyoの縁側

    日々の出来事、季節の風景、ぼんやりと頭に思い浮かんだことなど暮らしの観察日記のようなものをポツリポツリポツリと書き始めてみようと思います。 気軽に腰を下ろして、ご近所さんがやって来れば、お茶でも飲みながら他愛もないおしゃべりもできる憩いの場、縁側。 私が営む雑貨店「in-kyo」の店名にちなんでタイトルを「in-kyoの縁側」と名付けてみました。 さて、その縁側では一体何を目にするのでしょう。

  • 三春タイムズ

    • 49本

    福島県三春町での暮らしや季節の行事、風景など ゆるやかで心地よい時間の流れを 「三春タイムズ」と題して追っていきます。 題字をはじめ、毎回文章に合わせて 素描家shunshunが絵を描き下ろしてくれます。 更新は二十四節気の変わり目に沿って 一年で二十四のお話を綴っていきます。 文・長谷川ちえ 絵・shunshun

最近の記事

願い事

もしも一生に一度、願い事が叶うなら 何をお願いするでしょう。 そう聞かれてすぐさま頭に浮かんだことといえば、 家族や友人が心身ともに健やかに過ごせることだろうか。 何もいい人ぶっているわけではないのだが、 今は願い事をするならそれだけって けっこう幸せなことなんじゃないかと思っている。 少し前のこと。西会津にある山の神様、大山祇神社へ行ってきた。 ここは「三年続けてお参りすれば、なじょな(どんな) 願いも聞きなさる山の神様」と伝えられている神社だ。 夫は幼稚園の頃に両親に

    • 自分次第

      昨日のこと。 用事があって郡山までバスで向かった。 子どもの頃は乗り物酔いがひどくてバスはおろか、 自宅の車に乗るのも嫌だったし、電車も30分以上乗ると 具合が悪くなっていた。 それがいつの日か平気になって、今では本を読んだり 考え事をしたり、ぼんやりしたり。 家にいるときとはまた違う、時折窓の外を流れる景色に 目をやりながら過ごすそんな時間が好きになっている。 昨日もバスの中で読むつもりで持って行った本を開き、 数行読み始めたところで「ん??」と、 運転手さんのアナウン

      • 秋は甘い匂いがする

        表へ出てスーッと肺を満たすように目一杯 空気を吸い込むと、甘~い匂いがする。 金木犀のような華やかさではない。それに金木犀は パッと咲いてあの香りを一斉に漂わせたかと思うと、 あっという間に散ってしまって今はもう残り香すらない。 それよりもうんと地味で、ここ数年限定できずにいる この匂い。そうだ、秋は甘いのだと思うことにしよう。 昨日は自宅のハナレ「TONARI」で開催した 朗読家・岡安圭子さんの朗読教室 &朗読会の日。 教室での教材は宮沢賢治の「やまなし」 もともと我が

        • 栗の皮剝きの先には 10月6日

          年に2度ほどあるクリーンアップ大作戦の名のもと、 隣組による町内清掃の日。 我が家周辺は空き家が多く、隣組といっても5軒。 しかもそのうち2軒は高齢のため実質は3軒で この清掃作業を行っている。 さらに。 3軒の中でも我が家は50代の私でも「うんと若手」 欠席・遅刻などできないわけで、年に2度とはいえ 寝坊をしないようにと前日から緊張している。 6時集合のために5時に起床。 目覚めるとシトシトと雨音が聞こえる。 作業ができるような服装に一応着替え、準備だけは整えてみたものの

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        記事

          舞茸はその後天ぷらに 10月5日

          昨夜遅くに仕事から帰って来た夫。どうやらひとりで グリル焼きにした舞茸をおつまみにして食したらしい。 冷蔵庫に入れた舞茸が減っている。 お味噌汁の具にもした。 サッカーボールサイズの舞茸にいよいよ終わりが見えてきた。 夫が東京出張で不在の日。最後はひとりの晩ごはんで 天ぷらにして使い切りゴール! 収穫から毎食のように食べていた舞茸。 特段キノコ好きというわけでもないのに、 なぜか一向に飽きることはなかった。 季節の恵みを身体が欲していたということなのか。 今日は短め食日記。

          舞茸はその後天ぷらに 10月5日

          庭で原木舞茸の収穫 10月4日

          庭で見事、原木舞茸が収穫時期を迎えた! と、言っても私は一切、手をかけていない。 これは夫が会社の新規事業の一環?で始めたことで、 (夫は注文住宅の会社に勤めているのだが…) 舞茸の他にも原木椎茸と、今その効能が注目されている(らしい) ヤマブシタケも庭の一角にスタンバイしている。 一昨日、舞茸の様子を見に庭へ出た夫が大騒ぎ。 木の葉を被せていたので全く気配を感じていなかったが、 サッカーボールほどの大きさに育った舞茸の存在感たるや! いつの間にそんなに成長していたんだね?

          庭で原木舞茸の収穫 10月4日

          鍼灸メンテナンス 10月3日

          前回、鍼灸院に行ったのは確か梅雨入りの頃だったような。 どこかに致命的な痛みが出たから行くことにした訳ではない。 そうだとしたら尚更、メンテナンスと思って定期的に通えば その効果もいっそう感じられるだろうに。 わかっているのに元気を過信して間が空いてしまい、 先生に申し訳ない。が、変わらずカラッとした笑顔で 迎えて下さる先生はいつも優しい。 先日の登山の筋肉痛は思いのほか早く引いた。 なーんて思っていたのもやはり過信。 「ここ、張ってますね」と先生にツボを押さえられて、 ア

          鍼灸メンテナンス 10月3日

          鈴虫の声 10月2日

          陽が暮れるのが早くなった。辺りが薄暗くなってくると、 夏のセミに代わって今は鈴虫の大合唱。 一体何匹くらいが羽を震わせ、この音をつくり出しているのだろう。 全方位から響くその音にすっぽりと包まれると、 鳥目で視界が効かないからか、 異世界へ連れ去られたような錯覚に陥る。 そういえば、先日の磐梯山では熊鈴をつけている方が 多く、前方から、後方から。はたまた 山道の上の方からは降るように鈴の音が聞こえていた。 そうなると、もうどこで鳴っているのかわからなくなるほど。 熊鈴の響き

          鈴虫の声 10月2日

          宝の山よ~ 10月1日

          福島に住んでいるなら一度は登った方がいいと言われる磐梯山。 確かに。 遠くから眺めることは何度もあったというのに、 これまで登る機会がなかったとは。 自分にその気持ちさえあれば、案外と機会はめぐってくるというもので。 先日の日曜日。お店を臨時休業してまで…という 後ろめたさが無くもなかったが、 「エイッ!」という勢いも必要かなと自分に言い聞かせ、 夫とともにKUU先生が誘って下さった町のトレッキング教室に 参加することにした。 これでも東京に住んでいた頃は、よく山へ行ってい

          宝の山よ~ 10月1日

          いつでもポンと簡単に取り出せるように 9月27日

          1泊の東京出張から昨夜三春へ戻ってきた。 雨が降ったのか、しっとりと地面が濡れていて 草木や土、いろんな自然の匂いがした。 たった1泊だというのにその匂いを胸いっぱいに吸い込んで 「あぁ帰って来たんだなぁ」などと どこかホッとしている自分がいる。 三春に住んでたかが8年、されど8年。 すっかり三春ナイズされたのか。 さすがに疲れて今日こそはダラダラと何もせずに 過ごそうかと布団の中で思っていたが、 秋晴れの空に手招きされるように、起き上がって外へ出たら、 結局庭仕事をはじめ

          いつでもポンと簡単に取り出せるように 9月27日

          そして私は歳を重ねて 9月21日

          はっ!と気づいたときには 日々がザザザーッと過ぎて9月も後半へ突入。 その間、日記を書けなかったことを悔やむほど 様々な出来事があった。 ひとつひとつを書き留めていれば、微細なそのときの 心情や景色、空気や空の色、音など大事な欠片を とっておくことができたかもしれないのに。 私はそうやってバタバタしているうちに またひとつ歳を重ねた。 55ですよ、55歳。 この年齢を自分でどう捉えたら良いのだろう? 抱負は?などと聞かれたところで恥ずかしながら これといったものはない。 人

          そして私は歳を重ねて 9月21日

          台風とやまなしと 8月29日

          ここ数日、ネットで台風情報を 日に何度もチェックしている。 というのも、夫が出張で金沢へ向けて 車で今朝出発。 奈良からは友人夫妻が飛行機で 今日福島に到着予定。 そして私は朝から健康診断。 これは関係ないけれど。 三春は風もなく、暑さも落ち着いて曇り空。 台風の影響といえば今のところ、 湿度が高いくらいだがなんだか落ち着かない。健康診断では問診でいくつか質問をされたが どれも受け答えがぼんやりとしたものになってしまった。 さて検診の結果はいかに。 それもそうなのだが、まず

          台風とやまなしと 8月29日

          目が点 8月24日

          半年、もしくは一年に一度、東京からin-kyoに いらして下さるお客様。その方が朝一でご来店。 リネンニットの洋服をご試着されて、和やかに 接客していたそのときだった。 表の通りをたまーに見かけるおじいさんが歩いていた。 するとそのおじいさんはin-kyoの花壇の前で 立ち止まり、何かをし始めた。 接客をしつつ、気になってそのおじいさんを注視すると なんとウチの花壇のユーカリの枝をポキポキ いや、バキバキと折っているではないか! 最初は何をやっているのかさっぱり理解ができず

          目が点 8月24日

          松本から昨夜三春へ戻る 8月23日

          2泊3日の松本滞在から昨夜三春へ戻る。 松本と三春は気候や空気が少し似ている気がする。 が、耳の奥の方では宮下家の子どもたちの声や、 山から聞こえる蝉や秋の虫の鳴き声がこだましている。 普段、木曜日が休みの夫は出張で留守だし、スイとモクは お昼寝中。静かな三春の時間を寂しく感じたりもするが、 これが日常。時間の経過とともに徐々に私の日常へと 意識がスライドしていく。 宮下家の影響を受けて今朝は早起きして庭の草刈り。 朝ごはんは蒸籠で蒸したしっとりふんわりしたパンを味わう。

          松本から昨夜三春へ戻る 8月23日

          松本2日目 8/21

          DM撮影日。 宮下家の子どもたちと一緒に、蒸籠で蒸したパンや 名残の桃、旬のぶどうが並ぶ食卓を囲む。 撮影が始まる前から漆を使った 豊かな景色のある日常が目の前に広がっている。 撮影のときだけではなく、地続きの中の1コマを DMに収める。イメージとしてはそんな感じでDM制作を 毎年重ねている。 『家族の漆』このテーマで開催している宮下さんの個展も 今回で10回目。子どもたちが生まれる前に開催していた 個展のテーマが「ごはんのうれしい漆のうつわ」で2008年から 始まっていて、

          松本2日目 8/21

          毎年恒例の松本行き 8/20

          1年は早いな。 今年もこの季節がやって来た。 12月に開催する個展DMの撮影のために、 松本市在住の漆の宮下家へ写真家・大沼ショージさんと 2泊3日の滞在。 DM撮影という名目だけれど、親戚の集まりのような、 「ただいま~」と久しぶりに田舎へでも帰るかのような。 その年によって訪れる季節は変わったりもしているけれど、 毎年の恒例行事のようになっている。 テーマや方向性は三者でお互い話し合うものの、 撮影はショージさんに全幅の信頼をしているので、 店主としては、現場で何か作業

          毎年恒例の松本行き 8/20