鈴木ファームの玉ねぎが、台所の片隅にあることの幸せ。
玉ねぎとの運命的な出会いといったら、大仰に過ぎるでしょうか。
私淑する料理家山脇りこ先生のおすすめは、ひたすら忠実に取り寄せるようにしています。
なかでも、京都の茶舗、柳桜園のほうじ茶「香悦」は、丸みといい香の品位といい格別で、最近では日本橋の高島屋にあることがわかり、決して、切らすまいと心に誓っております。
最近、山脇先生におすすめいただいたのは、長崎県の雲仙普賢岳の麓にある鈴木ファームの玉ねぎでした。
ホームページを見ると「薬・化学肥料・除草剤・動物性堆肥を一切使用せず栽培しています」とありました。
志の高さに惹かれて注文してみて驚いた。これまで私が食べてきた玉ねぎは、いったいなんだったんだろうと思うほどの美味しさだったのです。
有機をうたう農家は多い。
まるで標語のように野菜に付着している。安全、安心を、有機ならば大丈夫と買っている人も多いだろうと思います。私もそのひとりです。
けれども、鈴木ファームの玉ねぎは、名前だけの有機とは、まったく別次元にあります。
まず、両端に包丁を入れる。ふたつに切る。その断面から香り高い汁がこぼれでる。
さらに、刻んでいくと、豊潤な空気が台所に満ちていく。
昔の玉ねぎのように、涙を誘うような刺激臭はまったくない。まろみが球形のなかに封じ込められているのでした。
はじめは試しに小量を、二度目は、多めに頼みたくなりました。メールで私ははじめ十二キロをお願いした。返信は、なんとも親切なものでした。
「玉葱十二キロだと箱が120サイズで送料が高くなります。送料は一五五○円(ちなみに玉葱二十二キロ入ります」
続けて、
「玉葱十キロでしたら、箱一○○サイズで送料は、一三五○円です」
送料のわずかな違いまで書いて下さる気づかいが嬉しくなった。顧客のことを思いやる気持が、あの豊潤な玉ねぎを生み出しているのだと分かったのです。
結局、箱一○○に十キロ、加えて、できた隙間に新ニンニクをいれてもらうことになりました。
あとから追加のメールが来ました。
「玉ねぎは、種まき後の育苗時に毎日朝、夕方と水やりをするのですが自然の山水を汲んで水やりしています。
中々日持ちする新玉ねぎですので、熟成してからも更に美味しくなる様です。
年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。