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カレル・チャペック『白い病』の黒い笑い。
今日は仕事を早々に済ませて、ベランダの薔薇の冬剪定にかかった。
四鉢とはいえ、剪定の作業には、中腰が避けられない。
腰が痛いな、寒さが身に染みると思ったら、急にカレル・チャペックの『園芸家の十二ヶ月』(中公新書)を思い出した。
園芸家は御苦労なことに、腰痛も厭わずに冬の庭仕事に精を出す件りである。
カレル・チャペックの戯曲『白い病』(岩波文庫)の新訳が出た。
阿部賢一の訳は、簡潔で余計な修飾がない。帯にも引用された「閣下、握手はできません……私は……〈白い病〉なんです」が、胸に突き刺さる。
『ロボット』や『山椒魚戦争』で知られるチェコの劇作家が、一九三七年に書いた戯曲だけれど、新型コロナウイルスに浸食されている現在の世界と重なる。
突然、死に至る疫病が流行しはじめた。
戦争の前夜にある軍事政権の架空の国で、市井の医師が特効薬を発見する。医師がかつて学んだ大学病院で治験と治療を行うが、効果が歴然となる。
ただ、この医師は、発見した治療薬をある条件のもとにしか公開しないという。それは、権力や金を持つ人間は、平和のために尽力しなければ、治療しないというのだ。奇しくも戦争へと突き進む最高権力者の元帥が、この死へと至る病に取り憑かれる。
年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。