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【劇評359】新作歌舞伎の傑作。幸四郎、松也の『朧の森に棲む鬼』。

乱世を描く新作歌舞伎

 疾風怒涛の時代を描いて、劇団☆新感線に勝る集団はない。


 十二月、新橋演舞場で上演されている『朧の森に棲む鬼』(中島かづき作 いのうえひでのり演出)は、歌舞伎NEXTと銘打っている。二○一五年の『阿弖流為』に続く作品となった。

 歌舞伎役者を中心に組んだ座組みで、劇団☆新感線のスタイルや美意識を打ち出すこの試みは、まさしく疾風怒涛の時代を描いて、息もつかせない。
 今回の上演では松本幸四郎と尾上松也が、ライ役とサダミツ役を交互にダブルキャストで演じている。私は、松也がライ、幸四郎がサダミツに回ったヴァージョンを観た。松也がまぎれもなく歌舞伎の芯に立つ役者になったことを実感した。
 一方、幸四郎のサダミツは、化粧を含め、大胆に踏み込んだ役作りだった。染五郎時代からチャリで笑いをとる才質にすぐれていたのを思い出す。

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年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。