演劇人の自伝を読んで、思うこと、いくつか。
このところ少し時間に余裕ができた。
今取りかかっている改稿作業にともなって、初出原稿を書いたときに使った参考資料を再読している。すべてが家にあるわけではない。区立図書館に取り寄せを依頼して、ゆっくり読む。そのくらいのペースで仕事ができるのがうれしい。
『回想の文学座』『書いては書き直し』『アーサー・ミラー自伝』『フレッド・アステア自伝』。ぽつぽつ呼んでいくと、また新たな発見がある。すべてを改稿に取り入れるわけではないけれど、寄り道が楽しい。うれしい。こんな時間をしばらく忘れていたような気がする。
『回想の文学座』は、長く文学座に在籍し、旗揚げの初期を知る俳優、北見治一の貴重な証言だ。俳優のキャリアを始める前から、演劇雑誌を編集していた。『文学座史』も、この人の手によるものだから、生き字引きの記憶が残されたことをよろこぶ。杉村春子への憧憬が胸を打つ。
以下は、ニール・サイモン、アーサー・ミラー、フレッド・アステアの自伝だけれども、どうして人は、自らの過去について、膨大な記憶を投げ出すのだろう。全身全霊をかけて、自らの半生を意味あるものとして再構築しているかのようだ。
年々、演劇を観るのが楽しくなってきました。20代から30代のときの感触が戻ってきたようが気がします。これからは、小劇場からミュージカル、歌舞伎まで、ジャンルにこだわらず、よい舞台を紹介していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。