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長谷部浩の俳優論。

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歌舞伎は、その成り立ちからして俳優論に傾きますが、これからは現代演劇でも、演出論や戯曲論にくわえて、俳優についても語ってみようと思っています。
劇作家よりも演出家よりも、俳優に興味のある方へ。
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#正三角関係

池谷のぶえ藝の冴え

池谷のぶえ藝の冴え

 特異であることが、すなわち自然であること。

 あるいは、どこにもいずはずもない人間が、どこかにいるはずの人間に見えてくること。

 野田秀樹作・演出の『正三角関係』で、池谷のぶえが演じたウワサスキー夫人は、俳優であることのパラドックスをよく体現していたように思う。おしゃべりで、おせっかいなおばさんと見えたところが、劇が進むにつれて、巨大な陰謀の黒幕のようにも見えてくる。なぜ、こんな謎めいていて

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野田秀樹は、なぜ唐松富太郎を花火職人としたのか。

野田秀樹は、なぜ唐松富太郎を花火職人としたのか。

 

俳優と役柄 

やくざと兵隊

日本人の男優は、やくざと兵隊を演じさせるとうまい。そんな警句は今でも流通しているように思う。

 日本の映画界は、長くヤクザ映画や戦争映画を量産しつづけてきたから、俳優の思想的な背景とは直接むすびつかないにしても、やくざや兵隊を演じる機会が数多く与えられたのは事実だろう。やくざも兵隊も、その言動は様式に縛られていて、その定式をはずなさければ、「それらしく」見え

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舞台で主演する資質とはなにか。

舞台で主演する資質とはなにか。


男優の資質  野田秀樹作・演出の『正三角関係』で、松本潤は、堂々たる厚みで舞台を支配していた。松本には、スターとしての帝王学がそなわっているからだというのでは、理由を解明したことにはならない。まぎれもなく松本は、野田秀樹の舞台の主役ととして、揺るぎなく舞台にいた。
 私はかつて友人たちと交わした会話を思い出していた。

 昨年の冬だったろうか、気の置けない友人たちと、神保町の新世界飯店で夕食をと

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【劇評345】法廷劇に巻き起こる風。野田秀樹作・演出『正三角関係』。

【劇評345】法廷劇に巻き起こる風。野田秀樹作・演出『正三角関係』。

 『正三角関係』には、何が賭け金となっているのだろう。
ずいぶん以前、夢の遊眠社解散のときに、野田秀樹の仕事を概観して、「速度の演劇」と題した長い文章を書いた。今回の舞台は、まさしく役者と演出とスタッフワークの圧倒的な速度を賭け金として、日本の近現代史のとても大切な結節点にフォーカスしている。
 舞台写真にあるように、色とりどりのテープ、球、蜘蛛の糸などが、大きな役割を果たしている。

年齢を重ね

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