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2022年10月の記事一覧
【劇評281】花村想太の出世作となった『ジャージー・ボーイズ』チームグリーンのドラマ性。人は大人になり、汚辱にまみれていく。
中川晃教のヴァリーを擁して『ジャジー・ボーイズ』(藤田俊太郎演出 小田島恒志訳)は、再演を重ねてきた。ふたつのチームで公演する場合も、中川だけは不動で、すべての回に出演してきたのである。 私にとって中川のヴァリーは、唯一無二であり、他のキャストなど考えてみたこともなかった。 この十月に日生劇場で上演されている『ジャジー・ボーイズ』は、ふたつのチームがある。中川を中心としたチームブラックと、花村想太がヴァリーを勤めるチームグリーン。私は新しいチームがどれほどのパフォー
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【劇評279】平成中村座。奇想天外で芝居のおもしろさがぎっしり詰まった宮藤官九郎の『唐茄子屋』!!!。勘九郎の愛嬌。獅童の喋り。七之助のルンバ(笑) 六枚。
面白い芝居を観客はよく知っている。 満員御礼となった平成中村座の第二部。宮藤官九郎作・演出『唐茄子屋』に注目が集まっていたが、実際の舞台は奇想天外にして、驚天動地。芝居の国のワンダーランドを旅している心地にさせる。 破天荒なおもしろさは無類で、歌舞伎の活力を信じることが出来た。 こうした活力は、どこから生まれるのだろう。 まず、勘九郎、七之助は、若年の頃から父勘三郎の元で、新作歌舞伎を仕立て挙げる楽しさを学んでいる。歌舞伎の外から来た演出家、劇作家とともに、芯とな
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【劇評276】ホーヴェ演出、イザベル・ユペール主演の『ガラスの動物園』の舞台を読み解く。国境を問わず、多くの人々が圧殺されている閉塞感。六枚半。
『ガラスの動物園』の常識を打ち破る舞台だった。 コロナウィルスの脅威のために、二〇二〇年、二〇二一年と延期になってきたテネシー・ウィリアムズ作 イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出の舞台を、新国立劇場の中劇場で観ることができた。 冒頭、エプロンステージにいるトム(アントワーヌ・レナール)は、最前列の観客の手を借りて、スカーフを使ったマジックを見せる。のちに重要な鍵となるマルヴォーリオの棺桶を使った魔術を先取りした演出である。 ここで私は、スカーフが私たちの思い出のように思
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