【劇評191】藤田俊太郎演出、城田優主演の『NiNE』。カサノヴァの命運と失墜。
極上のエンターテインメントとして、『NiNE』(アーサ・コピット脚本、モーリー・イェストン作詞・作曲 藤田俊太郎演出 小田島則子翻訳・日本語字幕、髙橋亜子訳詞 島健音楽監督)は、コロナ渦に揺れる日本をいっとき慰めた。イタリアのフェデリコ・フェリーニ監督の自伝的な映画『8 1/2』を原作とした舞台版は、一九八九年にブロードウェイで初演されている。
私には、二○○四年に上演されたデヴィッド・ルヴォー演出が深く記憶に刻まれている。その後、この舞台版をベースに制作された映画『NI