【劇評176】緒川たまきのコケットリーと高田聖子の胆力。ケラリーノ・サンドロヴィッチのコメディを観て。
久し振りにコロナウイルスの脅威を感じることなく舞台に接した。少なくとも、休憩がはさまるまでは、舞台に引き込まれて現実を忘れた。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出の『ケムリ研究室 no1 ベイジルタウンの女神』が、世田谷パブリックシアターで上演されていた。上演期間のほとんどは、客席を半減しての上演だし、劇場入口での検温や手洗い、半券の処理も他の劇場と変わらない。
それにも、かかわらず、劇がはじまったとたんに、私たちは、この架空のベイジルタウンに飛んで、乞食たちの楽