三津五郎の墓参りに行って、ぼんやり考えたこと。
入試の季節は、受験生の必死な思いとぶつかりあうことになる。
もっとも、二○一五年の二月二十一日からは、この慌ただしい日々に、新たな感慨が加わった。この日、十代目坂東三津五郎が、五十九歳の若さで亡くなった。このときの衝撃は、私にとって大きな意味を持つ。
先立つ三年前、三津五郎は盟友だった十八代目中村勘三郎を一二年十二月五日に亡くしている。このときの嘆きは、築地本願寺の本葬で、三津五郎が読んだ弔辞に凝縮されている。私としては、親しくしていたふたりが、こんなに早くあの世に行