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不思議な保険会社
洋風の塔の絵に「日宗生命保険株式会社」の印字。なにやら不思議な印刷物です。
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この建物は元々明治31年に吉沼時計店が建設した6階建ての時計塔でした。明治35年に日蓮宗門信徒が設立した日宗生命保険株式会社に譲渡され、譲渡されると時計塔の文字盤を白く塗りつぶし「南無妙法蓮華経」と墨書して世間を驚かせたそうです。確かによく見ると文字盤に文字のようなものが書かれてあります。
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広告の下には鉄道馬車が描かれています。これは明治15年に開業した東京市街馬車鉄道です。新橋と日本橋を2時間で結ぶ鉄道でした。当時は車両を引く動力は馬でした。
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その後、明治36年に路面電車へ移行します。この広告が世に出た翌年ということになりますね。絵をよく見ると自転車や馬車も見えます。開化期の東京の交通事情がよくわかります。
西洋建築の時計塔と日蓮宗そして様々な交通機関という東西の文化が入り交じった明治ならではの一片といえます。
〈参考文献〉
仏教系生保の破綻について ―日宗生命破綻を中心に ― 深 見 泰 孝 2010