Hasebe

展示の解説をします。入館料無料。 お仕事ございましたらよろしくお願いします。

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マガジン

  • 紙の中の空想展

    令和6年10月23日~10月25日の3日間文翔館ギャラリー7にて開催される展示の解説です。

  • 展覧会のための収蔵庫

    次回の展覧会のための収蔵庫です。雑多な話が多いです。 収蔵庫内の温度20度前後湿度55~65%

  • 修復室

    コレクションを直しています。文章少なめ。

  • 東西断片収集

    6月10日~12日に文翔館ギャラリー7で開催する「東西断片収集展」の解説です。

最近の記事

「紙の中の空想」展終わりました

「紙の中の空想」展無事に最終日を迎え終えることができました。ご来場いただいた皆様、文翔館の職員の皆様ありがとうございました。文翔館の素敵な空間で2度も展覧会を開けたことは大変ありがたいことでした。展示のストックはあと1つあります(三部作です)。またいつか皆様の目に触れる機会があればと思います。

    • 「紙の中の空想」展始まりました。

      本日から文翔館で「紙の中の空想」展が始まりました。江戸後期から昭和15年までの夢や空想を展示しています。 「はじめに」にデジタルな情報だけでは得ることができない、本物を観ることで感じられる物語を見つけていただければ。と書いておきながら撮影自由にしています。 各展示資料の解説はnoteのマガジンに「紙の中の空想」展にあります。来場できない方も展示を楽しんでいただけるかと思います。

      • 夢の終わり

        デザインが素敵で手に入れた芝居の案内をご覧ください。 扇子の左端に「紀元二千六百年」と記載されています。昭和15年は神武天皇が即位してから2600年ということで国を挙げて盛大に祝いました。 「金鶏かがやく日本の栄えある光身に受けて今こそ歌えこの朝(あした)紀元は二千六百年」 このような祝い歌が歌われながら大祝典が11月10日に挙行されました。花電車やイルミネーションで装飾された市電が走り、提灯行列で華々しい戦前最大のお祭りであったそうです。 昭和12年から始まった日中戦争や

        • 吉凶を記す

          10月になると書店やコンビニに占いの本が並びます。人類は昔から占いが好きですね。 誰かを占った際に書かれたメモと思われます。こういうものが残っていることが面白いです。 「羅曜星」「金曜星」「計都星」と書かれており「右ノ星ヨリ順々繰るべし」と続けて書いてあります。恐らく九曜というインド起源の占星術で人々の繁栄や収穫、健康に大きな影響を与えるとされてきたものです。インドのヒンズー暦では1ヶ月を新月から満月までの「白分」と満月から新月までの「黒分」に分けそれぞれ1日から日を数えま

        マガジン

        • 紙の中の空想展
          21本
        • 展覧会のための収蔵庫
          5本
        • 修復室
          4本
        • 東西断片収集
          17本

        記事

          紙の中の空想ー東西断片収集Ⅱー

          10月23日~10月25日の3日間、再び文翔館ギャラリー7にて「紙の中の空想」展英語版タイトル”Was it in a dream?”を開催します。ハロウィンシーズンということもあり幽霊とか人間あらざるものだったりとか空想をかき立てるものを集めました。以下挨拶文です。よろしくお願いします。 昔の史料を眺めているとその当時の情景が浮かんでくることがあります。それはデジタルな情報からは得られないものが本物の史料から得られるからなのだと思います。また、空想上の生き物が描かれている

          紙の中の空想ー東西断片収集Ⅱー

          インテルメッツォー箸休めー

          なんだかよくわからないものをご紹介します。こういうなんとなく手に入れたものが結構あります。 恐らく絵画の練習で書かれたものかいたずら書きかと思います。左の相撲を取っている妖怪のような絵は結構上手ですので、絵画の下書きといいますか練習で画いたものではないでしょうか。もう少し詳しい解説をしたいところですが、正直よくわからないです。箸休め的な記事だと思っていただければと思います。

          インテルメッツォー箸休めー

          巌谷小波先生2

          巌谷小波は若き頃、芝の料亭紅葉館の女中須磨と浮名を立てられる仲になったのですが、博文館の社長の息子大橋新太郎に須磨を奪われるということがありました。巌谷小波の師匠尾崎紅葉はこのことを題材にして『金色夜叉』を書いたのだそうです。こんなことがあったのにその後も巌谷は博文館での有力作家であり続けたというから驚きです。 さて、この写真にはどういう人々が巌谷と写っているのか気になりましたので調べてみました。上段から行きましょう。右から順に解説します。 ・1番右 沼田笠峰(ぬまたりゅう

          巌谷小波先生2

          巌谷小波(いわやさざなみ)先生

          巌谷小波と彼の仲間写真を見つけました。巌谷小波は明治から大正にかけての作家、児童文学者、俳人で、日本の近代児童文学のみならず児童文化の生みの親です。 「小波主幹の全快の祝ひ」というタイトルが付いており、左には「四月二日、上野公園常磐華壇に於て催す。此冩眞は其時の記念撮影」と説明があります。常磐華壇は明治から昭和に存在した高級料亭で文豪や渋沢栄一などの国の要人などが利用していたようです。名物は「開化丼」牛肉を使ったどんぶりで、卵でとじた牛丼だと思ってください。肉食が始まった明

          巌谷小波(いわやさざなみ)先生

          1つの結論

          いろいろ収集しているとなんだかわからないモノだけれど面白そうという理由だけで手に入れたモノがあります。 長年わからずそのうちわかるだろうと放置していたものが本腰入れて少し調べてみるかと調べてみるとやっぱりわからない。が、なんとなくこういうことではないかと結論がでたものを今回ご紹介します。 『萬工畫式』明治21年刊行の本です。開いてみると様々なイラストが描いてあります。 説明書きが何もなく、絵も変わったモノが多い本です。本の説明をいろいろ調べてみると「中国古画に材をとる明治

          1つの結論

          江戸の呪術

          日本においてまじないは縄文時代から存在していました。科学技術が発達していない時代ですから、怪我や病気、災害などが起こると祈祷師みたいな人が儀式を行い問題を解決してきました。今回ご紹介するのは幕末頃発行された迷信奇術の類いを解説した『妙術知恵鑑』という本です。 卵を積む方法、目が良くなる方法等々手品のような術もあります。まあ、余興に使うようなものですね。しかしながら、個人的に興味を持った呪術的なまじない2つご紹介します。1つ目は「おもふ人をゆめに見る伝」好きな人が夢に出てくる

          江戸の呪術

          19世紀の詩集

          挿絵が美しくて手に入れた2ページ。19世紀に出版されたスコットランドの詩人トマス・キャンベル の詩集の一部でした。 この詩集のタイトルは“TO THE RAINBOW(虹へ)“ です。 “その神聖なページに忠実に、 天は今もあなたの寿命を再建しているからである。その活字は、歳月を経ても色あせることはない、 人間に平和を最初に語りかけた” 挿絵画はウィリアム・ハーヴィーという木版画家です。精密で繊細な絵であることから木口木版と考えられます。木材で木口は輪切りにした際、年輪

          19世紀の詩集

          観覧車の行方

          ある日、古本屋で表紙が無い本を見つけました。 本を開くと両面に東京の様子が写された写真帳でした。面白いのでペラペラページをめくっているとあるページに目が止まりました。それがこちらです。 右の観覧車、どこかで見たぞと思い、記憶をたどると東京勧業博覧会の画報にも観覧車の写真があったことを思い出しました。 実はこの観覧車、東京勧業博覧会が終わった後に浅草6区に移築されたものでした。どちらの写真も下にいる人々が観覧車をぽかんと見上げています。明治の東京に異様な建物が出現し、人々

          観覧車の行方

          虞美人草

          夏目漱石の作品に『虞美人草』があります。この作品の第11章に1907年(明治40年)に上野で開催された東京勧業博覧会が登場します。 本資料は東京勧業博覧会の様子を写した写真集です。博覧会は明治40年の3月20日7月31日までの3ヶ月間、今の上野公園で開催されました。主催者は本資料の序でこの博覧会の意義をこのように書いています。 「今回の博覧会は、陳列品の精華、周囲の風光、建築の雄大、誠に東京市民の誇りとするに足るべく・・・」 本来博覧会は国内物産の開発・奨励が目的でしたが、

          虞美人草

          美しき挨拶

          古本屋でポストカードを物色していたら随分お洒落なカードを見つけました。 中を開くと「満足の光が、あなたの新しい年を輝かせますように。そしていつまでも、日ごとに、そのバラ色の時間が、あなたのとげのない道に花の雨を降らせるように!幸運の表情に、しかめっ面が見られませんように。しかし、悪知恵にには愛が満ちています。彼女の晴れやかな顔に、ほほ笑みのえくぼをなぞることができますように」というSamuel Kennedy Cowan (サミュエル・ケネディ・コーワン)という詩人の詩が印

          美しき挨拶

          遠くに行きたい

          先日、たまたま森高千里さんの「風に吹かれて」という歌を聴きました。あまり邦楽は聴かないのですが、なかなか良くてそういえばコレクションの中に大正時代の旅行のガイドブックがあったなと思い出しました。 文章は以前勤務していた資料館の館報に書いた「時は大正、ロマンの時世」というコラムを加筆修正した内容です。自由に旅行ができる時代になった大正時代の空気を感じていただければと思います。 私の好きな画家に橋本邦助という明治時代から活躍した人がいます。彼の描いた絵が欲しくて探し回っていると

          遠くに行きたい

          BINCHE(バンシュ)より

          ”TELEGRAMME”はフランス語で電報の意味です。送り先には「BINCHE(バンシュ)」というスタンプが押してあります。バンシュはベルギーのエノー州にある基礎自治体のことです。 下部の絵はベルギーの首都ブリュッセルの中心地にある世界遺産に登録されている広場「グラン=プラス」です。この広場は世界で最も美しい広場と言われています。右手に描かれている塔付きの建物は市庁舎で、15世紀に建てられました。広場は1695年の戦争で破壊されてしまいますが、市庁舎は奇跡的に破壊を免れ現在も

          BINCHE(バンシュ)より