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肩鎖関節の全体像と運動学

今回は肩複合体の一部の肩鎖関節についてです。

肩鎖関節における関節運動は小さな動きだけですが肩甲骨が胸郭面状において安定した運動を実現するために非常に重要な役割をしています。

肩複合体について複数の記事で解説しています。前回の記事も合わせてご覧ください。


全体像

肩鎖関節(acromioclavicular Joint)は鎖骨の外側端と肩甲骨の肩峰からなります。肩峰にある鎖骨関節面は内側やや上向きに鎖骨の肩峰関節面との接触面を作ります。ほとんどの肩鎖関節に関節円板が存在します。両関節面がほぼ平坦な平面関節です。

関節周囲結合組織

肩鎖関節は上下の靭帯で補強された関節包で包まれています。関節包靭帯上部は三角筋と僧帽筋の付着部によって補強されます。

烏口鎖骨靭帯は菱形靭帯と円錐靱帯からなり肩鎖関節に外部から重要な安定性を提供しています。

2つの靭帯の長さ、断面積、硬さ、抗張力は同程度の値です。烏口鎖骨靭帯の垂直な走行は、鎖骨に肩甲骨を懸垂する働きが示されています。

肩鎖関節を安定させる組織は以下の4つです。
①肩鎖関節包靭帯の上部と下部
②烏口鎖骨靭帯
③関節円板
④三角筋と僧帽筋上部線維

運動学

肩鎖関節はとても小さな動きしかもちません。この動きは、肩複合体と動きと肩甲上腕関節とのつながりを最適にするものです。

上方回旋と下方回旋

肩甲骨の上方回旋は、肩甲骨が鎖骨の外側端に対して、上向きに外側に向かって弧を描く、ことによって起こります。この動きは、肩の外転や屈曲の一部として自然に起こります。

文献によっては、上腕を頭上に持ち上げる際に肩鎖関節の上方回旋は30°くらいまで起こると報告されています。これは肩甲胸郭関節での上方回旋に貢献します。

肩鎖関節での下方回旋は、肩甲骨を解剖学的肢位に戻し、上腕の内転や伸展と連動します。

回旋運動調整

肩の動きによる肩鎖関節の運動学的な観察では、鎖骨の外側端に対して肩甲骨は回旋あるいはねじりの動きを行います。

こうした「回旋運動調整」とよばれる微妙な動きが肩甲骨を胸郭の形状にうまく合わせ、なおかつ全体の動きをさらに大きくします。

肩鎖関節の水平面調整は垂直軸で起こり、肩甲骨の内側縁が胸郭から離れる動きは内旋、近づく動きを外旋として定義されます。

肩鎖関節の矢状面調整は水平軸で起こり、肩甲骨の下角が胸郭から離れる動きを前傾、近づく動きを後傾として定義されます。

上腕が外転や屈曲運動をしているあいだに肩鎖関節は3平面上の動きをしています。

たとえば、肩甲胸郭関節の外転の際には、肩鎖関節わずかに内旋します。肩甲胸郭関節の挙上の際には、わずかに前傾します。

これらの動きは肩甲骨の前面と胸郭の形状がぴったりと適合させ、肩甲胸郭関節の動きの質と量を高めます。

これらの回旋調整なしでは、肩甲骨は胸郭に対する微妙な位置の調整をする自由度を失います。

まとめ

・肩鎖関節は平面関節
・肩鎖関節を安定させる関節周囲結合組織
 ①肩鎖関節包靭帯の上部と下部
 ②烏口鎖骨靭帯
 ③関節円板
 ④三角筋と僧帽筋上部線維
・肩鎖関節の上方回旋と下方回旋は約30°
・水平面と矢状面で回旋調整運動をする
 運動中に肩甲骨前面と胸郭面を適合させる


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今回の記事は以上になります。

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