見出し画像

脊椎圧迫骨折(椎体圧迫骨折)と理学療法

脊椎(椎体)圧迫骨折は高齢者の4大骨折の1つです。

高齢者が入院される病院ではリハビリでも担当する機会の多い疾患です。

発症から退院まで1〜3ヶ月くらいで、骨の治癒や疼痛の強さによってリハビリの進行も異なってきます。

今回は、脊椎(椎体)圧迫骨折についてまとめました。臨床の参考にしていただけたら幸いです!


脊椎圧迫骨折の原因


好発は中高年者、骨粗鬆症、多発性骨髄腫、転移性骨腫瘍などです。骨の強度が低下していると起こりやすいです。若年者では高所からの転落などの外傷により起こります。

高齢者の4大骨折部位の一つです。高齢者の椎体は、腰を落として尻もちをつくような転倒や物を持ち上げたりする動作で生じます。

脊椎圧迫骨折の症状


受傷直後から腰部または背部周囲の強い体動時痛や体動困難がみられます。稀に脊髄症を呈します。好発部位は胸腰椎移行部(Th10〜12)です。疼痛は通常で約4週間で痛みが軽くなり、約12週間後に消失します。

高齢者で骨粗鬆症が原因の圧迫骨折は約2/3で自覚症状がみられず、骨折の痛みも感じません。徐々に骨折が進行する場合は、物を持ったり歩いたときに腰背部痛がある、背中が丸くなる(脊柱後弯症、老人性円背)、身長が低くなるなどの症状が出た場合に疾患を疑います。

また、悪性腫瘍の椎骨転移により病的骨折を生じるときもあります。この場合は、腰背部痛が激烈で、下肢麻痺や体幹の支持性・運動性を失う場合もあります。

脊椎圧迫骨折の治療

治療は、第一選択が保存療法で、圧潰が高度な場合は手術療法が適応になります。保存療法は、装具固定(硬性コルセット)、ギプス固定、反張位固定法です。手術療法は、固定術、椎体形成術です。その他の治療は、鎮痛薬、早期の活動再開、理学療法などです。


脊椎圧迫骨折の理学療法


受傷直後(受傷後約4週間)


コルセットが完成するまではベッド上で関節可動域訓練や筋力訓練、呼吸療法を積極的に行います。安静臥床だけでは全身の機能が低下する廃用が進んでしまいます。

また、良肢位保持により椎体の軸圧を軽減します。背臥位で約20°のギャッジアップ、もしくは側臥位を選択することで椎体の圧潰を防止します。

コルセットが完成後は疼痛の軽減に合わせて徐々に座位訓練を開始します。ギャッジアップから椅子座位へ離床していきます。このとき、体幹が屈曲する肢位は避けます。

座位訓練の次は起立・歩行訓練に移行していきます。急激な疼痛を避けたいときはティルトテーブルを使用します。コルセット(軟性・半硬性)を併用して起立・歩行訓練に進みます。

慢性期(受傷後約4週以降)


受傷後約4週間で疼痛は軽くなってきます。

運動前などに温熱療法を使用すると腰背部の疼痛と筋スパズムを軽減します。運動療法では体幹筋力増強・背筋群の過緊張の軽減、脊柱運動性の改善を目的とします。

コルセットを長期間着用していると体幹筋の筋力が低下します。疼痛が軽減してきたら体幹筋の筋力訓練を行います。体幹の伸展運動は椎体への圧迫を軽減することができます。

今回、参考にした書籍はこちらです↓


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

今回の記事は以上になります。

面白かった、共感できたなどありましたら、ぜひスキボタン、 フォローボタンをポチっとお願いいたします!

X(旧Twitter)で情報発信しています。理学療法士HASEに興味を持っていただけた方、応援していただける方はフォロー、いいねをお願いいたします!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?