靭帯の構造と機能
靭帯は関節を構成する主要な組織です。
足首の捻挫や膝関節の靭帯損傷などでは靭帯そのものの疾患として扱われます。
また、靭帯は関節包とともに関節を形成するため拘縮の要因にもなります。
今回は、靭帯の機能と構造について紹介していきます。
本日も学習していきましょう!
靭帯の構造
靭帯は、関節包靭帯と副靱帯に大別されます。
関節包靭帯は、関節包の線維膜の結合組織が集束となっているもので、関節包と明確に分けることができません。
一方の、副靭帯は関節包と明確に分離しており、関節腔内に存在する関節包内靭帯と関節包の外にある関節包外靭帯に分けられます。
靱帯は密性結合組織であり、コラーゲン線維束が靭帯の長軸方向にほぼ平行になっています。またエラスチン線維が含まれており靱帯は伸張性を持ちます。
靭帯が骨と付着する部分は、コラーゲン線維→線維軟骨→石灰化線維軟骨→骨と徐々に硬度を増す構造であり、突然に強い力が加わっても骨と離断しないようになっています。
コラーゲン線維の間には扁平な線維芽細胞が常在し基質、コラーゲン線維、エラスチンの産生・保持に働きます。
靭帯の機能
滑膜性関節は、骨と骨が離れているため非常に不安定な構造です。そのため、関節周囲や関節内に靭帯が配置され関節の安定性を保っています。
靱帯は、一定の範囲内で正しい方向への関節運動を導き、関節面相互の関係を破綻させる無理な運動や異常な方向への運動を制御します。
また、関節包とともに、関節腔を形成する役割もあります。なかには前十字靭帯のように生理的な関節運動を誘導する靱帯や、関節へ神経と血管を導くために存在する靱帯もあります。
靭帯の感覚神経
靭帯にも感覚神経が分布しています。
Schutteらの報告では、ヒト前十字靭帯にはルフィニ小体、パチニ小体、ゴルジ腱器官といった機械受容器が存在し、靱帯体積の約1%であったとしています。
近年、感覚器としての靭帯の役割が明らかになりつつあります。
機械受容器が分布していることから位置覚、運動覚の役割を持ちます。
関節の位置や荷重などによら負荷に対して、靱帯からの感覚情報が脊髄反射を引き起こし、骨格筋の収縮をコントロールしているという報告もあります。
また、疾病や関節の不動により靭帯の神経支配状況は変化する可能性があります。この変化がどのような意義を持つかは明らかになっていません。
まとめ
・靭帯は関節を安定させ正しい運動方向にに導く
・関節包靭帯と副靭帯に大別される
・関節腔を形成する
・神経や血管が通る靭帯がある
・感覚神経が分布し感覚器としての役割を持つ
参考にした書籍はこちらです↓
関節可動域制限―病態の理解と治療の考え方
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今回の記事は以上になります。
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