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天秤二号を読んで

 ご活躍中の麒麟の先輩が、超結社の句友のかたがたと出されている同人誌。拝読させていただきました。
 とても良かったです。装丁の紙質も好き。以下敬称略です。
◯内野義悠
15頁 「まなうらの・・・」
蒼いのはまなうらだと思うけれど、蒼く耀くモルフォ蝶が辺り一面埋め尽くして。
16頁 「音飛び・・・」夏の暮れかけの空を蝙蝠の真黒の影がはばたく様子が暑いなかの景だけど、音楽が絡むことで、その瞬間から幻想の夜に引き込まれる。
◯木内縉太
19頁 「踏絵・・・」
遠藤周作の沈黙とか、五島列島の教会、泥の中の雲母の耀きみたい。暗いのにキリスト教の聖性と絡むと不思議と煌びやかな印象が。
20頁 「雪礫・・・」
一転、とても普通の情景なのだけど、美しい青空と雪の白とが交差する一瞬の虚みたいなものがみえて。
◯髙田祥聖
23頁 「春泥・・・」
プリマヴェラの清濁のみ込み、その美を唇に。
25頁 「・・・少し泣く」
冷たく柔らかなものに抱かれ、一人、心を少し大人へと。
追記/ホント、つまらない解釈だなぁと反省。星が憧れるなにものかとすると、なかなか手にすることのできなくて、それでも手を伸ばし続けるその痛みに少し泣くっていうのもありかなぁ。先のだと、「星」が生きない気がします。
◯塚本櫻魚(したの四点が大の字/スマホでさがしきれなくて😢)
26頁 「身を投げて・・・」
暑さに蒼い湖へ飛び込むと、美しい水底に棲む青龍に。一気に物語の世界。
28頁 「鵙の贄・・・」
開いたのは贄の眼? 泣いたあとかな。これから寒い冬に向かう厳しさの中にくっきりと。
追記/贄、貯蔵食物としての機能に対してそれが生前持っていたはずの心の残像をそこに見たことによる「湿度」?
◯山本たくみ
30頁 「餡蜜・・・」
餡蜜はこのなんともいえない迷いというか、気分そのもの。
追記/辞しているから、迷いではなく決定に対するやるせなさかな。夏の氷のシャープさに比しての、かな。
32頁 「しじみがひ・・・」
麒麟の先輩である山本先生の句はいつも楽しいのが多いけど、その裏側の句が好きかもです。

以上、大変僭越ながら、好きな句を選んでみました。
 俳句を読んで、感じたことを言語化する時、新たに立ちあがる理解と同時にその言葉の裏に沈んでしまう影のようなものがあって、その影も同時に掬いとれるようになると良いのだけれど半人前以下には、難しいのでした マル

💡 在庫未確認ですが、麒麟の句会で山本先生から、500円でわけていただけます! 他にも入手方法あるみたい・・・




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