どんぐりは、背比べはしない。
わたしは、どんぐりが好きだ。
可愛らしいベレー帽をかぶってぶら下がるどんぐりが好きだ。
道に転がって、子供に拾われているどんぐりが好きだ。
『どんぐりの背比べ』なんて言葉があるけれど、
そんなことを言ったらどんぐりに失礼だ。
高いところから地面に落ちる勇気など、わたし達にはないくせに。
となりの芝生が青いって?そう見えるのなら、そうかもしれない。
青くする術はいくらでもあるよ。
ありったけの愛情と手間ひまかけて育ててみるんだ。
それは、自分の扱い方とおんなじだ。
そして気づくんだ。
となりの芝生は、となりの芝生。
あなたは、あなたで、わたしはわたし。
豚に真珠なんて、大きなお世話だ。
自分の着たいものは自分で選ばせて欲しい。
自分が好きなものがわかっている感覚がどれほど尊いものか。
そもそも、豚が真珠していたら、かわいいではないか?
お願いだ。
みんな、もっと自分に優しくなってくれ。
本当は、比べることも、飽き飽きしているんじゃないだろうか。
本当は、となりを覗き見する暇なんてないんじゃないだろうか。
本当は、他人の目が幻想だということに気がついているんじゃないか。
お願いだ。
みんな、もっと自分に優しくなってくれ。
どんぐりは、背比べなんてしないんだ。
晴海たお