
靴と、女の人生。
20代、ドクターマーチンで駆け抜けて、
30代、パラブーツで踏み締めて、
40代、シャネルのバレーシューズで愛されて、
50代、エルメスのモカシンで優雅に、
60代、フェラガモで気品高く、
70代、軽やかにグッチのローファーを。
そして、80代になっても裸足でサーフボードの上を歩くんだ。
これは、わたしの女としての足元の歴史と、これからの理想の足元だ。
靴、足元というのは、その人の人柄や生活、生き方が顕著に現れる。
見えないけれど手を抜けない下着と同様、隠せない足元はその人自身を表現している。
長年、アパレルの世界で働いてきて、多くのスタッフやお客様の足元をみてきたからわかるのだ。
ブランドの靴というのは、品質やデザインもさることながら誕生の背景や歴史があることも魅力であり、スタイリングのイメージを完成させてくれる存在だ。
わたし達に、その靴に見合う人になりたいという、純粋な憧れや夢を与えてくれる。
『おしゃれは足元から』と言われるように、わたしもその日のコーディネートは靴から決める。そして、靴の値段にかかわらず、綺麗に磨いたり、できる限りのメンテナンスも大切な心構えだと思う。
わたしの母は、決して高いものは身につける人ではないが、靴は綺麗に磨く人だ。
そこに、ものを大切にする優しさや誠実さが滲む。
わたしが買った一番高い靴は、フランスの老舗パラブーツのシャンボードだ。
靴に7万円をかけるのは、しがないOLにはなかなか勇気のいる買い物だった。
きっかけは、あるクリエーターの男性が10年以上履いているパラブーツを雑誌で紹介していた記事を読んだことだった。
メンテナンスをしながら、二人三脚で歩んできた年季の入ったパラブーツを見た時、心が動いたのだ。
『わたしも、そんな相棒が欲しい。。。』と。
結局、あまりの履きやすさと自分のスタイリングとの相性の良さに。黒と茶をそろえたほどだ。
30代の大半を、パラブーツと共に歩んできた。
わたしの歩き癖ですり減った靴底や、わたしの足の形に馴染んだ、唯一無二の相棒になった。
先日、ふと、自分のこれまでの人生と、これからの人生を靴と照らし合わせたくなった。これから、どんな生き方をしたいか、どんな自分でありたいかを整理したかったからだ。
整理しながら、気がついた。
20代の頃履いていたドクターマーチンは、ラバーソールでとても重い。
わたしの場合、若さの魅力も強みもよく分からず、なんだか分からないことだらけで毎日必死で、苦しかったことの方が記憶に残っている。
まるで、ドクターマーチンが重い足枷になっていたかのように。
30代で出会ったパラブーツも登山靴のイメージなので少し重さがある。
でもその重さに安定感を感じる。登山をするように、一歩ずつ踏みしめる感覚だ。
それは、自分自身と向き合う出来事が多かったわたしの30代を象徴している。
そして、これからの40代は、自分と向き合い、心のストレッチも終えて少し余裕ができた自分で、愛し愛される10年間をシャネルのバレーシューズと歩んでいきたいと思っている。この靴だけは、人生をともに歩む人に買ってもらおうと決めている。
続く、50代、60代と歳を重ねるごとに、とにかく軽やかに、優雅に過ごしていこう。
そのブランドの歴史の重さに負けない、軽やかなマインドと足元で人生を豊かに創っていこう。
そして、神様がわたしを生かしてくださる限り、願わくば80歳になっても裸足でサーフボードの上を歩きたい。
あなたと共に歩む靴はなんですか?
晴海たお
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